受付嬢の前に、ゴブリンエンペラーとゴブリンキングの死体を運んできた。
「こ、これがゴブリンエンペラー……? それに、ゴブリンキングまで……? ど、どうやったら、これだけの大物を相手に、たったの4人で討伐できるんですか!?」
受付嬢が驚愕する。
「ん? 普通に戦っただけだが」
特に何か特別なことをしたわけではない。
俺は罠や奇襲作成にも精通しているが、今回はそれをするまでもない相手だった。
「い、いえ、普通の戦い方で、たった4人でゴブリンエンペラーやゴブリンキングを倒せるわけがないでしょう!?」
受付嬢が叫ぶように言った。
「だが、事実だ。信じてくれとは言わないが、そういうこともあると思ってくれ」
俺はそう言う。
「おいおい、1つだけ訂正があるぜ」
「そうだな。そこを間違ってもらっては困る」
「重大な訂正だな! ギャハハハハ!」
三馬鹿たちがそう口を挟んでくる。
「”赤い三連星”の皆さん……。そうですよね。経験豊富なあなたたちが、何かしらの策を弄されたのですよね」
受付嬢が納得顔でそう言う。
「ゴブリンエンペラーとゴブリンキングは、このオッサンが1人で倒した」
「俺たちは、ゴブリンの群れの相手で手一杯だったぜ! ギャハハハハ!」
「ああ。それに、ゴブリンエンペラーの投石であっさり倒されちまったしな……」
三馬鹿がそう言う。
「…………」
受付嬢が無言になってしまう。
「あー。その、なんだ。あまり気にしない方がいいと思うぞ」
俺はそう声をかける。
「き、気にしますよっ だって、ありえないじゃないですかぁ!!」
受付嬢が半泣き状態で叫んだ。
……うむ。
この世界の冒険者とやらの平均レベルは低そうだ。
それを基準に考えるなら、確かに単独でゴブリンキングやゴブリンエンペラーを討伐するのはありえないのだろう。
俺にもそれぐらいはわかる。
だが、事実は事実として処理を進めてもらうしかない。
俺はしばらく待つ。
ようやく、受付嬢が落ち着きを取り戻してきた。
「わ、わかりました。ゴブリンキングとゴブリンエンペラーの死体、そしてCランクパーティ”赤い三連星”の皆さんの証言があるのであれば、リキヤさんの功績にもはや疑いの余地はありません」
「うむ」
「リキヤさんの冒険者ランクを上げさせていただきます! DランクからCランクへ!」
受付嬢がそう宣言した。
「おお。これで、また一歩、高みへと近付いたな」
俺はそう呟く。
冒険者ランクが上がることで、より難易度の高い依頼を受注することが可能になる。
強力な魔物と戦う機会も増えるだろう。
それに、高ランク冒険者と出会うチャンスもあるはずだ。
最強を目指す上で役立つこともあるだろう。
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