格闘チャンプの異世界無双

〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

27話 ノックスの街に到着

公開日時: 2021年7月8日(木) 21:53
文字数:1,718

 フィーナの村を出発してから数日が経過した。

 そして、とうとう街が見えてきた。


「ふむ。なかなか大きな街だな」


 俺はそうつぶやく。

 人口は、軽く1000人はいそうだ。


「そうですね。私も行商で何度か寄ってきましたが、このあたりでは比較的大きな街です」


 エミリーがそう言う。

 彼女の表情はまだまだ暗いが、馬車に揺られながら多少の心の整理はつきつつあるようだ。


 そのまま、街の出入り口にたどり着く。

 門番がいる。


「ノックスの街にようこそ。入街には、審査が必要だ」


 門番がそう言う。

 何やら入街の手続きが必要なようだ。


 俺は、そのあたりの知識がない。

 エミリーの両親に手続きを任せる。

 入街料がいくらか必要だったようだ。

 エミリーの両親が立て替えてくれることになった。


「悪いな。出させてしまって。俺には手持ちが一切ないんだ」


 こうなるぐらいなら、ビッグボアやミドルボアの肉を村人にあげたときに、少しだけでももらっておくんだった。

 村長たちも、まさか俺が完全な無一文だとは思ってもいなかっただろう。


「いや、これぐらいは払わせてくれ。リキヤ殿にはお世話になりっぱなしだからな」


 エミリーの父親がそう言う。

 ここは彼の言葉に甘えるしかない。

 盗賊どもを奴隷として売り払えば、今回の分も含めて返してやることにしよう。


 そんなことを考えつつ、俺は入街の処理が終わるのを待つ。


「それで、後ろの男どもはなんなのだ?」


 門番がエミリーの父親にそう尋ねる。


「ああ。こいつらは、あのブラック盗賊団さ。俺も襲われてしまったのだが、こちらのリキヤ殿に助けてもらったのだ」


 エミリーの父親がそう説明する。

 門番が俺のほうをチラリと見つつ、まずは盗賊たちの見分を始める。


「な、なるほど……。確かに、ブラック盗賊団のようだ。幾人か、指名手配されている者もいる……」


 門番が盗賊どもの顔を順に見ていく。


「……むっ! こ、こいつは。ブラック盗賊団の頭領、漆黒のシュバルツ! Bランク冒険者でさえ手こずると言われるこいつを撃破したのか。それも、ただ討ち取るのではなく、捕縛する余裕まであるとは……」


 門番がそう言って、驚きに目を見張る。


「全てはこちらのリキヤ殿のお力です。近隣の村の若者たちも手伝っていたそうですが、ほぼリキヤ殿の力と言っても過言ではありません」


 確かに、彼らは俺に付いてきていただけだ。

俺と盗賊どもの戦いを間近で見たのは、いい経験にはなっただろうが。


「なるほど……。相当にお強いようですな」


 門番が俺を見て、そう言う。

 俺の実力に気づいたのか、口調が少し丁寧になっている。


 俺は自慢ではないが、技術だけではなく体もちゃんと鍛えてある。

 実際に戦うところを見せるまでもなく、見る人が見れば実力はある程度分かるものだ。


「ああ。まあそいつら程度であれば、相手にもならん。頭領もそこそこ程度だな」

「それはすごい。では、身分証として冒険者カードを拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」

「冒険者カード?」


 もちろん俺はそんなものは持っていない。


「おや。てっきり、高名な冒険者の方かと思いましたが」

「いや、俺は武者修行の旅の途中でな。冒険者ではない」


 冒険者とは何だ?

 未知の領域を冒険して切り拓く者のことか?


「左様でしたか。山間部の村を通って来られたのでしたら、そのようなこともありますか。この街には、冒険者ギルドがあります。ブラック盗賊団を壊滅させるような方でしたら、冒険者としても稼げるでしょう。よろしければ登録をオススメしますよ」

「わかった。検討しよう」


 冒険者とやらが何かは知らないが、この口ぶりからすると傭兵みたいなもののようだな。

 戦闘能力さえあれば、活躍できる職業のようだ。


 そんな会話をしつつ、門を通される。

 エミリーの父親が口を開く。


「さて。リキヤ殿。門番の者も言っておりましたが、冒険者ギルドに行ってみますか? できればその前に、この盗賊どもを奴隷として売却しておきたいのですが」

「そうだな。冒険者ギルドも気になるが、まずはそっちが先だな」


 捕縛しているとはいえ、10人以上の盗賊たちを連れて街を歩き回るのもな。

 万が一こいつらが逃げて町民に被害が出れば、俺たちの責任も追及されるだろう。

 さっさと売却して、金に換えておくことにしよう。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート