格闘チャンプの異世界無双

〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

25話 フィーナとの別れ

公開日時: 2021年7月6日(火) 22:27
文字数:1,601

 フィーナの母親に薬を飲んでもらってから、1週間ほどが経過した。

 彼女の体調は良好だ。

 もう問題ないだろう。


 堀と塀の作成も、村の若い男たちとともに完成させた。

 そこらの魔物程度であれば、堀と塀は突破できない。

 村の安全性は格段に増したと言えるだろう。


 そろそろ、この村を離れてもいい頃合いだ。

 この村に滞在して、もう1か月ほどが経過する。

 その間に、この世界の最低限の常識を学ぶことができた。


 これ以上長居しても、最強を目指す上で得るものはない。

 強さなど忘れて、フィーナとともにゆっくり暮らしていくのも魅力的ではあるが……。

 やはり、最強への憧れが捨てきれない。


「リキヤさん……。とうとう、旅立たれてしまうのですね……」


 フィーナが悲しそうな顔をしてそう言う。

 俺が考えていることは、彼女に筒抜けだったようだ。


「ああ。俺はまだ武者修行の旅の途中なんだ」


 正確に言えば、これから武者修行の旅が始まるところだが。

 地球や日本という単語を出してみたことがあったが、彼女たちには通じなかった。

 武者修行の旅の途中という設定で通していくのが無難だろう。


「私から見れば、リキヤさんは十分にお強いです。でも、それだけじゃ満足されないのですよね」

「そうだな。すまん。俺は最強を目指しているんだ。まだまだ俺の知らない強敵がいるかもしれん」


 地球では、俺のライバルはもはやいなかった。

 しかしこの世界では、何やら魔法だとか気術だとかいう不可思議な技術があるようだ。

 俺を倒せるような強者がいる可能性がある。


「本音を言えば、行ってほしくありません。でもリキヤさんなら、Sランク冒険者になったり、武功を挙げて叙爵されたりするかもしれません。こんな辺鄙な村で収まる人じゃないですよね……」


 フィーナが悲しそうな顔でそう言う。


「そんな顔をするな。俺の旅が落ち着いたら、きっと迎えにくるさ。それまで待っていてくれ」


 最強を目指す旅も、いつかは終わりがくる。

 ついちょっと前までは、加齢による衰えで引退も考えていたくらいだ。

 この世界にきて何故か体の調子がすこぶるいいので、引退は取り消したわけだが。


 最強を目指す旅が終われば、後は余生を楽しむことになる。

 フィーナといっしょに子どもを育てるのもいい。

 たっぷり金を稼いでおいて、大きな家に済み、うまい酒と料理を堪能していこう。


「きっと迎えにきてくださいね。あんまり待たせちゃうようだと、他の人の子どもを生んでいるかもしれませんよ?」

「フィーナが望んだことならそれでも構わない。そうでなければ、子どもごと引き取ってやる。俺は全てを受け入れよう」


 旅の途中で、俺が死んでしまう可能性ももちろんある。

 俺より強いやつにやられるのであれば、俺にとっては本望だ。

 しかし、そんな俺の帰りをいつまでも待ち続けることになるフィーナは不憫だ。

 彼女は彼女で、幸せな人生を送っておいてほしい。


「ふふ。冗談ですよ。私はずっと待ってますから。それに……もうできているかもしれませんし」

「む? それもそうか。……いつかと言わず、一年以内には一度顔を見せるようにしよう。子どもの顔も知らんまま放ったらかしにするのも悪い」

「ええ。よろしくお願いしますね。きっと元気な赤ちゃんを生みますから」


 フィーナがそう言う。

 赤ちゃんができているかはもちろんまだわからないが、できている可能性も十分にある。

 これからたくさん稼いで、一年以内には一度帰ってこないとな。


「さて。旅立つとは言っても、まだ少し日にちはある。あの行商人一家や捕縛した盗賊、それに村長たちといっしょに街まで行く予定だからな。彼らと予定を合わせる必要がある。出発の日まで、毎晩可愛がってやるぞ」

「えへへ。望むところです。最後に、一度くらいはリキヤさんに勝ってみせます!」


 フィーナがそう意気込む。

 俺は夜の戦いでは別に最強を目指しているわけではないが、それなりに場数は踏んできている。

 そうやすやすと負けるわけにはいかない。

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