リキヤがネネコや赤い三連星と鍛錬に励んでいる頃……。
フィーナの家では、家族会議が開かれていた。
彼女のことを覚えているだろうか?
リキヤがこの世界に来て初めて出会った少女である。
彼は彼女に案内された村でしばらく過ごし、イノシシ狩り、畑仕事、盗賊退治などで村に貢献した。
リキヤとフィーナは深い仲になったが、最強を目指すリキヤは新たな刺激を求めて村を発ったというわけだ。
「まさか、こんなことになるとはな……」
「ごめんなさい……」
父親ダインの言葉を受け、フィーナがうつむきがちにそう謝る。
「別にフィーナを責めているわけじゃないのよ? でも、こういうのはきちんと考えておかないと……」
母親がそう言う。
「うん。わかってる」
「そうだな。……それで、どうするつもりなんだ?」
ダインが尋ねる。
「もちろん産むよ。リキヤさんの子なら、きっと強い子が生まれるはずだし」
「そうか。孕ませるだけ孕ませて放置するとは、リキヤ君には一言言ってやらないとな」
「まったくねえ。でも、リキヤさんのおかげで私の病気も治ったわけだし。難しいところね」
ダインとその妻が、今後について話し合う。
「お父さんもお母さんも、余計なことは言わないでね……。リキヤさん、いつか私のことを迎えに来てくれるって約束してくれたんだから。それまで待ってるの」
「そんな約束を真に受けて……」
「リキヤさんは誠実な人だもん! リキヤさんのことを悪く言わないで!」
フィーナがそう叫ぶ。
彼女はリキヤに心底惚れていた。
本当は村を飛び出て付いていきたかったが、最強を目指す彼の邪魔になってはいけないと思って我慢したほどである。
「ふっ。わかった。だが、もしもの時は彼がいないまま子どもを育てることになるぞ。もちろん俺たちも力になる」
「私にも頼ってね。これでも、あなたを育てた経験があるんだから」
「ありがとう……。お父さん、お母さん」
両親が自分を応援してくれることに、フィーナは深く感謝したのだった。
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