COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

守る世界に、キミはいるのか
平木明日香
平木明日香

第231話

公開日時: 2024年6月20日(木) 13:55
文字数:736


 夜月が懸念していたこと。


 それはキョウカが予測していた部分とは、若干ニュアンスが異なっていた。


 確かに、キョウカもある程度は認識していた。


 エドワードを介して入手した情報は、限られた時間の中での計測とはいえ、それなりの正確さを伴っていた。


 魔力の性質や、球体内部の構造。


 事前に入手していた断層内部の情報を元に、考えられる化学的性質の内情を加味した上で、その物質の危険性や特徴が、あくまで“サンプルベース”ではあるが、独自の指標において算出されていた。


 解析が追いついていない部分があったのも事実だ。


 だから、夜月が指摘してきた理由もわかっていた。


 “気にも留めていなかった”というのは、そういったプロセスを踏んだ上での思考が、弓を引く初動に強く結びついていたからでもあった。


 ただ、キョウカは気づいていなかった。


 球体の内部に蠢いているもの。


 もしくは、球体の持つ“特質”。


 夜月の電磁波がキャッチした情報は、それが“特定の属性に縛られていなかった”という点だった。


 特定の属性を伴わない魔力などあり得なかった。


 魔法を扱う使役者が天使であれ悪魔であれ、その使役者が持つ属性上の微粒子が、多少なりとも魔力の形質に含まれているのが普通だった。


 しかし、それが“無い”。


 もちろん、属性を伴わずに魔力関連の反応を扱うことはできる。


 使役者の膂力を強化したり、魔力を扱う上での原子間力を、自らの「属性エネルギー」へと変換する際に用いられる“エーテル粒子場(量子化された場)”の反応がそれにあたる。


 ただ、これらはあくまで魔力というエネルギーを実体化する上でのプロセス上に経由されるエネルギー領域であり、実体化された魔力に対して、直接的な時間や空間に当てはめられる実用上の物質量(及び物象の状態の量)ではなかった。

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