COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

守る世界に、キミはいるのか
平木明日香
平木明日香

第193話

公開日時: 2024年4月10日(水) 20:55
文字数:742


 「おいチサト、仕事はまだ終わっていないぞ?」


 「え、でも全部討伐できたじゃん」


 「あれは雑魚だ。まだ中に大きい反応がある」


 「えええ。もう解除しちゃったよ?」



 キョウカはため息混じりに頭を抱える。


 チサトの風域は準備と設置に時間がかかる。


 クリーチャーの討伐は確かに完了していた。


 しかし中に大きい反応があるということは、エドワードの無線連絡でも耳に入っていた。


 連絡が入っている以上、風域の解除は時期尚早だ。


 キョウカの言いたいことは、チサトもよくわかっていた。


 ただし、チサトにはにわかに信じられなかった。


 大きい反応があると言っても、それは断層の構造上よくあること。


 元より断層には“海域”と言って広範囲に及ぶエーテル場の「波」がある。


 その流れは乱雑で、絶えず不安定な流域が行き交っている。


 魔力の誤検知が起こることもザラにあった。


 ましてや、短時間での調査では特に。



 「話していても埒があかない。チサト、再度ネットを張れる時間は?」


 「えーっと、5分くらい?」


 「充分だ。これから断層の表面に簡易的なシールドを張る。恐らく一時的な凌ぎにしかならないが、そっちはそっちでできるだけ急げ?」


 「…え、でも、あくまで“反応”でしょ?」


 「念には念を、だ。来なければ来ないでいい。わかったな?」


 「うぁーい」



 名古屋ジェッツがCランクに該当している理由。


 それはキョウカの「性格」に起因している部分が大きい。


 『速戦即決』の理念を掲げたのも彼女であるが、それは過去に魔族との戦闘によって仲間を失ったことが、主な要因となっていた。


 戦いの場に於いては、一瞬の気の緩みも命取りになる。


 考えられる「可能性」を一つ一つ潰していくこと。


 「念には念を」という言葉は、彼女のその考えを如実に表していた。


 「行動」を先決に捉える彼女ならではの考えだ。





 

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