「いくつか原因は考えられるけど、多分、出てきたんだろうね」
「出てきた!?」
「ブラック・ストリームはいわばエネルギーの「海」だ。あらゆるものを通過させることができる。人間が生身で入ったら肉体の消失は免れないが、それでもエネルギーそのものは失われない。まあ、「個」を維持することは不可能だが」
坂本先輩がそう言う。
続いて、ヨル先輩が。
「それにしても大きいね。ここまで大きい断層は久しぶりかも」
「開き方を見るに、中からこじ開けられてる…?」
「それはないんじゃない?断層を内側からこじ開けられる悪魔なんて早々いないし」
「プレートの歪みが発生したとか?」
「生憎“揺れ”は感知されてない。かといって、自然な開き方でないことは明白だ。となると、やはり…」
断層に、プレート。
聞き慣れない言葉たちが飛び交う中、深雪先輩が声をかけてくれた。
多分、顔に出てたんだと思う。
ちなみに会話に参加してないのは私以外にも1人いた。
『スライム使い』こと、水無月モモカ。
魔導書を読み漁っていたあの子供だ。
彼女は、最近魔女グッズにハマっているらしく、移動手段も杖を使うなどかなりマイペースな側面を持っている。
ミッションなどそっちのけで、ふわふわ宙に浮きながらページをめくっていた。
話なんて全然聞いていなかった。
どうやら、「仕事」にはさほど興味がなさそうで。
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