キョウカは濃い紺色の羽織を身に纏いながら、左右非対称の腰マントをバタバタと揺らめかせていた。
スキニージーンズのようにスマートなロングパンツ。
半透明な長い袖に、ゆらりと宙を泳ぐブルーシャツ。
空を仰ぎ見る。
天守閣の屋根から、無線連絡を続けるエドワードが滑空した。
すでに彼は合図を送っていた。
地上で情報をキャッチするキョウカ。
断層内で検知された「敵」の情報は、すでに彼女の頭の中に入っていた。
エドワードはギリギリまで分析を続けていた。
彼は名古屋ジェッツのメンバーだが、戦闘員というよりは、どちらかと言えば“サポーター”としての側面が強い。
元より、この場所にはキョウカとチサトのみが、「戦闘」としての役割を担うべく行動していた。
管制塔の調査によれば、名古屋市内の各方面に、断層から出てきた悪魔が紛れ込んでいるかもしれないとの情報が入っていた。
その事態に対応するべく偵察部隊、および地上部隊の各班は防衛省の指示の元、痕跡の追跡にあたっていた。
臨時で構成された特殊合同チームは全部で36。
個別のチーム数で言えば、総勢120にも及ぶ。
キョウカたちの管轄はあくまで名古屋城。
それは周知の上だったが、彼女は他のメンバーに通達していた。
「名古屋城内は私とチサトだけで対処する」、と。
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