ショックウェーブ(電撃流)。
物質の内側へと振動するエネルギーの伝播。
シールドの表面は激しく揺れ、また、こぼれ落ちた砂塵が宙に浮き上がる。
バラバラと崩れていくシールドの外殻と、その表層。
グニャッ
突如、液体のように変形したシールドの壁が、先輩を包み込むように周囲へと流れ出る。
ショックウェーブの接触領域から「外」へ。
衝撃の及ぶ範囲よりも“後ろ“へと波打った土の粒子が、バシャァァという音を奏でながら飛翔する。
「手」だ。
手の形だ。
シールドの表層から飛び出した砂が、急速な状態変化の先で先輩の体を飲み込もうとしていた。
ザッ
敵の攻撃範囲を掻い潜りながら、地面の平面積を十二分に活用する。
先輩の立つ地面の下からは、次々と岩の「牙」が飛び出しては、その行動の”範囲”そのものを阻害しようとしていた。
ただ、純粋なスピードに於いては先輩の方に分がある。
いくら敵の手数が多くても、捉えきれなければ意味がない。
敵の攻撃を掻い潜りながら、次々と電撃を浴びせていく。
近距離から中距離へ、中距離から近距離へ。
ジクザグに移動するその機動力は、敵の攻撃を分散させられるだけの範囲と広さを伴いながら、複雑な線の模様を描いていた。
縦と横のライン。
カーティスのいる中央を取り囲むように、電光石火の如く移動を繰り返す。
バッ
バッ
バッ
敵のシールドの強度は先輩の攻撃によって徐々に綻んでいたが、同時に「修復」も進行していた。
地面に接している限りは、その強度の回復に魔力を接続できる。
回復の濃度にはムラがあるが、先輩の攻撃箇所をあらかじめ予測できれば、攻撃の接触に合わせて局所的な“壁”の強化を実行できた。
シールド全体の強化を実行するよりは、範囲を絞って魔力を集中した方が、その消費量を抑えられるからだ。
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