COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

守る世界に、キミはいるのか
平木明日香
平木明日香

第101話

公開日時: 2023年12月30日(土) 15:08
文字数:728



 ショックウェーブ(電撃流)。



 物質の内側へと振動するエネルギーの伝播。


 シールドの表面は激しく揺れ、また、こぼれ落ちた砂塵が宙に浮き上がる。


 バラバラと崩れていくシールドの外殻と、その表層。



 グニャッ



 突如、液体のように変形したシールドの壁が、先輩を包み込むように周囲へと流れ出る。


 ショックウェーブの接触領域から「外」へ。


 衝撃の及ぶ範囲よりも“後ろ“へと波打った土の粒子が、バシャァァという音を奏でながら飛翔する。


 「手」だ。


 手の形だ。


 シールドの表層から飛び出した砂が、急速な状態変化の先で先輩の体を飲み込もうとしていた。


 

 ザッ



 敵の攻撃範囲を掻い潜りながら、地面の平面積を十二分に活用する。


 先輩の立つ地面の下からは、次々と岩の「牙」が飛び出しては、その行動の”範囲”そのものを阻害しようとしていた。


 ただ、純粋なスピードに於いては先輩の方に分がある。


 いくら敵の手数が多くても、捉えきれなければ意味がない。


 敵の攻撃を掻い潜りながら、次々と電撃を浴びせていく。


 近距離から中距離へ、中距離から近距離へ。


 ジクザグに移動するその機動力は、敵の攻撃を分散させられるだけの範囲と広さを伴いながら、複雑な線の模様を描いていた。


 縦と横のライン。


 カーティスのいる中央を取り囲むように、電光石火の如く移動を繰り返す。


 

 バッ


 バッ


 バッ



 敵のシールドの強度は先輩の攻撃によって徐々に綻んでいたが、同時に「修復」も進行していた。


 地面に接している限りは、その強度の回復に魔力を接続できる。


 回復の濃度にはムラがあるが、先輩の攻撃箇所をあらかじめ予測できれば、攻撃の接触に合わせて局所的な“壁”の強化を実行できた。


 シールド全体の強化を実行するよりは、範囲を絞って魔力を集中した方が、その消費量を抑えられるからだ。



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