ドッ…!
槍がリンの皮膚の表面に触れる。
被弾は免れなかった。
それは互いの意識の流れの中に流動的に認識できる「感触」だった。
“超電導”
——しかし間に合わない。
カーティスは槍の「中」に魔力を閉じ込めていた。
超電導が干渉できるのは魔力が「裸」の状態である時、つまり外側へと漏れ出ている時のみだ。
リンの体に接触したのはあくまで槍の本体。
物質としての実体的な表面でしかなく、魔力の「流域」ではない。
槍はリンの体にぶつかるや否や、破裂音のような音を出した。
わずかに展開されたシールドの衣を弾いたのだ。
直線的に伸びた軌道は大地の皮膚を灼き、空間に穴を開ける。
リンの体は貫かれていた。
回復途上だった左腕の骨を穿ち、胸の中心に風穴が開く。
心臓は槍の先端にあった。
…というよりも、その“鮮血”が飛び散っていた。
おびただしいほどに漏れ出る赤い液体が、十文字の刃に滴り落ち。
ザッ
勝負あった。
誰もがそう思った時だ。
ジリッ…と、わずかな気配がフィールドの中心から流れ出た。
それは「カーティス」のものではなかった。
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