「ごめんごめん!お待たせ〜」
具材モリモリの苺クレープを片手に、ピンクのアッシュが入ったワンサイドアップの髪が揺れている。
少し大きめのニットトップスに、通気性が良さげな無地柄のイージーパンツ。
偵察部隊には似つかわしくないド派手なサイドバックが、肩にかけられていた。
これから遊びにでも行くかのような軽めのテンションが、生クリームのついた口のそばで弾んで。
「まーちゃん、怒られてない?大丈夫?」
「怒られるって、誰に?」
「ウチの坂本だよ。「遅い!」って言っててさぁ〜」
「怒られてないよ。大丈夫」
坂本というのは、強面の男の人のことだ。
さっきから険しそうな顔でこっちを睨んでいる。
強面とは言ったが、ぱっと見はすごく好青年だ。
服装もスッキリしてるし、顔立ちもこれといった癖がない。
てっきりこの人が「リーダーだ」と思ったくらいだった。
全体的な雰囲気というか、責任感が強そうな見た目から。
「おいヨル。お前には節度っていうものがないのか?」
「坂もっちゃん。そんなカリカリしてると禿げるよ?」
「なッ…!」
思わず笑ってしまいそうになる。
どう見ても「上司と部下」って感じじゃない。
坂本先輩が言うヨル、——つまり“夜月先輩”は、年齢的には多分高校生くらいだ。
ワンチャン大学生かな?
それくらい若かった。
天使には「年齢」なんてものはないと言うが、2人のやり取りを見てると、どうも違和感が。
年齢的な差もそうだし、何より、「異色な組み合わせ」って感じがして。
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