10キロの距離など、あっという間だった。
体感だと3分くらい??
…いや、もっと早いか
空の上の景色をずっと見てたから、どのくらいの距離を飛んできたのかがイマイチわからなかった。
ただ、さっきまでなかったはずの景色が、背中越しに広がる地上の上に見えた。
濃い緑が、大地の真ん中に横たわっていた。
リンドブルム鉱山。
剥き出しの岩肌が反り上がったようにうねり、でこぼこの地形が至る所に続いている。
山の形はいびつで、それでいて大胆なほどに無造作な骨格が、大きなたんこぶのようにぼこぼこと地面の上に飛び出ていた。
上空から見下ろす限りじゃ、正確な大きさは掴めない。
だけど、見渡す限りに続いている1つ1つのうねりは、それ自体が巨大な山のように折り重なって見えた。
「森」が、山と山の間に流れるように走っていた。
まるで川みたいに、長い線を紡いでいた。
急降下する龍の体。
グッと風の流れる方向が変わり、重力が飛翔する。
コテ丸は腕をたたみ、翼をキュッと体に近づけて、山脈の中央へと姿勢を傾けていた。
一瞬、無重力状態が足元に触れた。
その感覚のあとにバタッとシャツがめくれ、後ろ髪がふわりと揺れる。
一気に下降していくスピードが、コテ丸の背中越しにぶつかってきた。
途端に、背中を掴む両手の力が、ほんの少し緩みそうになって。
うわあああああッ!
落下するスピードは、上空を飛んでいた時よりもずっと疾かった。
疾いというか軽い。
足元の感覚がほとんどない。
代わりに地上の形がどんどん大きくなっていく。
「山」が、視界の中心へと膨らんでいく。
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