世界が遠く霞む。
靄のように広がる地平線。
大きな山の連なる大平原。
高度数百mの空中を、巨大な翼が羽ばたいていた。
私たちが乗っていることなど意にも介さず、悠々と。
「あわわわわわわ」
「高い所苦手なん?」
…そう言うわけじゃないけど
まさかドラゴンの背中に乗って会場に向かうなんて思わなかった。
どっから飛んできたんだろうか。
この子は。
飛んでるスピードはめちゃくちゃ速かった。
下の景色が遠すぎて、周りの景色がゆっくりと動いているように見えた。
けど、鼓膜が千切れそうなくらいに、空を切り裂いていく音が耳のそばを掠めた。
ゴオオオオオオッ
目の前にある雲が突風のようにぶつかってくる。
翼が波打つたびに周りの空気が大きく揺れ、たくましい背中を通じて無骨な筋肉が躍動していた。
気を抜けば振り落とされてしまう。
そう思いながら、必死にしがみついてた。
だってほんとにやばいと思ったから。
盛り上がった首筋が壁になって、強烈な向かい風を直に受けることはなかった。
それでも、しっかり握ってないと落ちるところだ。
ただでさえ足場が不安定なのにッ
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