COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

守る世界に、キミはいるのか
平木明日香
平木明日香

第44話

公開日時: 2023年11月4日(土) 22:23
文字数:1,167


 「これからどうするんだ?」


 「これから…?」


 「俺ん家に来ないか?」


 「え!?」


 「…いや、その、詳しく聞きたいんだよ。お前のこと」



 …いや、でも…



 彼の話に乗ろうと思ったが、遠慮した。


 事情はともかく、そろそろ帰らないと怒られる。


 スケジュールってもんがあるんでね。


 こうしてキミといることだって、見つかったら大変なんだ。


 昨日の今日だし。


 今度は説教だけじゃ済まない。



 「今、住んでるところは?」


 「あれは…」


 「深くは聞かないよ。色々あるんだろ?」


 「あ、うん…」



 彼は彼で、少し私の話を聞くようになってくれた。


 私が「幽霊」だっていうことは信じてくれてないみたいだが、なんで生きてんのかとか、そういうことはしつこく聞いてこなくなった。


 彼なりに悪いと思ったんだろう。


 家までついてきたこととか、朝までいたこととか。



 「私のこと、他の人には喋らない?」


 「お前がそう言うなら」


 「わかった。じゃあまた今度会おう。あなたが私の家に来るんじゃなくて、私があなたの家に行く」


 「連絡先は?」


 「スマホ持ってないから」


 「そうなのか…」


 「インターホン鳴らすから、誰もいなかったら私だと思って?」


 「で、どこに?」


 「この家」


 「ああ、そういうこと」


 「私も色々聞きたいことがあるんだ。思い出すのは怖いけど、ちょっと休める場が欲しくてね」


 「休める場?」


 「こっちの話」



 最近ハードスケジュールすぎて、天使生活も大変だなと思い始めてたとこなんだ。


 この際自分の過去を知るのも、悪くないなと思った。


 それに「私」の彼氏なわけでしょ?


 トレーニングに嫌気が差したりしたら、助けてくんない?


 キミのこともよく知りたいんだ。


 別に、今すぐにとは言わないし、時間はたっぷりあるわけでしょ?


 それから、「キス」をしようとか言い出したら、さすがにぶん殴るから。


 キミが付き合ってたのは記憶があった頃の「私」で、今の私じゃない。


 いい?


 わかった?



 「お、おう」


 「絶対に他言しないでね?じゃないと消えちゃうから」


 「わかった」


 「それから、もしよかったらなんだけど…」


 「ん?」


 「今度一緒に大学に来てくれない?授業を受けに行かなきゃいけないんだけど、どうすればいいのかよくわかんなくて…」


 「大学ぅ!?」



 「望月町子」として生活を送ってるから、彼女が今通ってる大学に行かなきゃいけない。


 この1週間、登校してなかったんだ。


 夏木先輩にこき使われてて。


 ある程度特訓が進んだら、日中はモッチーとして生活を送るみたいだった。


 その割に、どうやって過ごせばいいのか全然教えてくれなくて困ってる。


 自分で考えろって言うんだよね。


 何かあったら。




 ま、何かあったらインターホンを押すよ。


 手を振って別れようとしたら、電話番号を渡された。


 彼は彼で大学生活を送ってて、夜は居酒屋でバイトしてるみたいだった。


 家にいないことが多いから、何かあったら公衆電話から電話をかけてくれって。




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