緑間は察知していた。
夜月からの信号。
それは自分自身が思考するような速さと、“時間間隔の滑らかさ”を伴っていた。
チャットポッドを介してチーム内の作戦を共有するよりも、遥かにタイムロスの少ない情報の伝達。
「紫電」の行動に際して行われる体重移動。
その僅かな挙動の隙間に、メンバーたちの意識は介在していた。
『バブルガム』
緑間桔平は水無月モモカと同じ水属性の天使だが、彼は「粘性(ガム)」と呼ばれる特性を持っており、自らの魔力を介して物質を“曲げる“ことができる能力を持つ。
この能力はリオンの「屈折(リフレクション)」と似ているようで、異なるものだ。
リオンの能力は”範囲型“と呼ばれるもので、能力の領域を外に広げることはできず、限られた範囲の中でのみ効果を発することができる。
リフレクションは、どちらかと言えば『防御系統』の性質に分類される。
系統はいくつかの種類に分かれているが、系統ごとのはっきりとした分類がないため、属性や能力の『型』のようにカテゴリー化されているわけではない。
緑間桔平の「ガム」は、対象となる特定の物質に対し伸縮性のある“ねばりけ(粘度)”を付与することができ、付与させた物質の形状や質量を、“一時的に”ではあるが、自由に変形させることができる性質を持つ。
“操作型”の能力。
彼は自らの属性の魔法を用いながら、「ガム」の能力を有効に活用するための術を豊富に持っていた。
上空で膨らんだ「風船」の正体は、彼の特性が付与された液体、「バブルガム」と呼ばれる特殊な“泡”だった。
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