COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

守る世界に、キミはいるのか
平木明日香
平木明日香

第135話

公開日時: 2024年2月4日(日) 17:29
文字数:907


 「…先輩は?」


 「私がどうかしたか?」


 「…いや、その、心臓が」


 「見ての通りだ。もうとっくに修復したよ」



 ホントだ。


 胸も塞がってる。


 あんなに強烈な攻撃を喰らったのに、何事もなかったみたいだった。


 便利な体だなぁ…



 「最後、どうやったんだい?」



 リオン君は先輩に尋ねていた。


 気になることがあるみたいだった。



 「なんの話だ?」


 「迅雷狼影が出現したあの時、異常な回復速度を見せたよね?」


 「…ああ」


 「リン姉の特性については理解しているつもりだ。だけど正直驚いたよ。魔力を吸収したわけじゃないんだろ?」


 「まーな。お前も知ってるだろ?天使の体はいわば魔力を閉じ込めるための「器」だ。『ギア』も同じく。迅雷狼影は文字通りカーティスのギアを“喰った”。「魔力」そのものへと変換したんだ。それを一時的に“借りた”だけさ」



 2人の会話は小難しくて、何がなんやらって感じだった。


 先輩のギアの能力、天使の体の構造。


 見習い天使の私にとっては、どれもまだ理解が難しい事柄だった。


 私の体もあんなふうに回復するようになるんだろうか…?


 だとしたら気味が悪いな…


 便利なんだろうけど、死ぬに死ねないってことだよね?


 裏を返せば。



 「そういえば、剛坂も勝ったらしいよ?」


 「そうなのか?まあアイツの相手は「バニシングス」の新人だろ?さすがに新人には負けねーだろ」


 「…剛坂って?」


 「今日の試合前に会っただろ?あの筋肉バカだよ」



 ああ、そうだそうだ。


 頭をポンッとしてきた人だ。


 あの人も勝ったんだ。


 じゃあ、チーム全員勝ったってことか。


 …あれ、あの眼帯の人は?



 「ザックスは今日は試合がない。確か明日だよな?」


 「うん。そうだね」



 バトルフェスティバルの戦いは日を跨いで行われる。


 一回戦は全部で1週間かけて行われる。


 地区によってばらつきがあるけど、そうしないと人数的に段取りが難しいからだそうだった。


 先輩の次の試合は約2週間後。


 一回戦が全部終わって、改めて対戦相手が決まってからだそうだ。


 決勝に行くには最低でも5回は勝たないといけないらしい。


 今日みたいな戦いがあと5回…


 考えただけでも嫌になりそう…


 出たくない人は出なくてもいいらしい。


 フェスはあくまで、任意参加の「イベント事」に過ぎないから。




読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート