「見誤るなよ、カーティス」
超電導に魔力を増幅させる機能はない。
そのことはお互いに知っている。
しかし「超電導」という特性の【応用できる領域】を誰よりも理解しているのはリンの方だ。
そしてその「幅」は、その特性を活かし切れる彼女にしかわからない部分があった。
カーティスは足元の大地を変形させる。
今は離脱するより他に無い。
そう判断したためだ。
魔力を前方へと展開した。
「その一手はまずい」
リオンがそう発した最中、地面の変形が止まる。
”止まったように見えた“と言った方がいいかもしれない。
その異変に即座に気づいたカーティスは、地面へと視線を移した。
(…これは、彼女の…!)
地面は電気を通す。
カーティスとリンの対峙する距離は10mにも満たなかった。
この距離に於いてリンは自らの特性を活かし切れる。
魔力流域を外部へと展開するのは、この場面に於いてリンの持ち場に足を踏み入れるのと同義だった。
咄嗟にフィールドの環境を活かそうと思考を働かせたカーティスの選択。
その一つの選択の〈誤り〉は、戦局を大きく一変させる。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!