今騒ぎ

Exaggerated story.
Kay.
Kay.

1シーズン 1997年~

♯1 クレソンのひと時

公開日時: 2022年2月14日(月) 07:46
更新日時: 2022年2月14日(月) 08:10
文字数:2,896

夜、アメリカ・テキサス州ダラスにて。

ダラス駅の近く、豪華な白い建築物に銀の星の小さな看板の真ん中には「マホーン」と書かれている。ここは講演会場だ。中では有名人や作家さんが講演している。おでこに怪我をつけた男の講演がおわり、続いて違う男性が案内される。


案内するのはこの会場を仕切っているドイツ系の男性マホーン・マウラー。


早速マホーンはつぎの講演をする人を呼んだ。


それでは続きまして、あの短編映画「adios.」で主人公の友、ジャン役を務めた俳優のクレソン・ラトナーです。俳優なのにお笑い芸人のような人で情熱的なのに冷静な男です。ではどうぞ!


と、そこに舞台裏からクレソンが小走りで出てくる。


は〜い! 皆さんどうも! クレソン・ラトナーです。初めての人は初めまして、知ってる人はどうも!

1つ言わせて貰うと、僕の講演は一味違います。笑いと僕の身に起きた事を話します。今日は新顔が多いので1つクスッと笑える話を話しをして終わりましょう。


すると、クレソンはマイクを近づけ昨日起きた出来事を話した。


クレソンに暗めのライトがあたり、お客さんはクレソンに注目する。お客さんは椅子に座って話を聴く。ここの規模だと110人収容可能。クレソンの講演は55人はいる。この会場は少し小さめの講演会場だ。


クレソンといえば、身長はアメリカでは少し低めでスマートな体型に「グリム」のモンローのようなパーマ、髪型をしている。少し違うのはブラウンが入っているところ。短編映画「adidas.」で脚本を書き、重要な俳優としても活躍した。講演家でもある。



昨日、友人と動物の話をしました。というよりかは友人が突然突拍子のない話をして来ました。動物を飼うならなにがいい? て。僕は答えました、うさぎ、猫、犬、フェレット、カワウソ、それから亀がいいと。

すると、友人はこう言いました。それはダメだと。どれか1つだけ、複数はキリがないと。なので僕はでは女性と答えました。そう、もし一緒にいたい動物と聞かれたら、女性と答えます。なぜ? だって一緒にいたら安心するし、可愛い、遊べるし夜の営みもできる。僕たちは動物なんだから。そうでしょう?


するとお客さんは笑っていた。


うん。だから女性がいい。友人はそのまま話せなくなりました。びっくりと正論すぎて。その時の友人の顔はけっさくでした。困ったパンダみたいだった。

ハハハハ!


クレソンも笑う。そこで照明は暗くなり、クレソンは舞台を降りた。今日の講演は終わり。


この講演会場には地下にBARがある。


そこにクレソンがやってくる。BARの店主にお酒の注文をする。


バーテン、サイドカーくれ。


わかった。


注文を終えると、そこにマホーンがやってくる。


やあ、ラトナー! 今日も笑いがポンポンポンポンって飛んでたな! やるな!


おお、マホーンかありがとう。


また頼むよ! 今日はこれからどうするんだ?


サイドカー1杯呑んでから帰るよ。


そうか、次も面白くしてくれよ!


ああ、わかった。


じゃあな!


と、マホーンは帰っていく。


するとどうぞとバーテンダーがサイドカーを作ってクレソンに渡す。


ありがとう。


クレソンはそんなに時間は掛からなかった。10分ぐらいでサイドカーを飲みほし、チップを置き、会計してBARを出た。今は12月で寒い時期だ。ダークブラウンのコートに黒と赤の線の模様が入ったマフラーをして、外にでた。凄く寒い。感覚はマイナス10度ぐらいの気分だ。すぐそこにタクシーがいたので、クレソンはその黄色いタクシーに乗る。


どちらまで?


3117 Lemmon Ave 75204のマイオB棟まで。


了解です。


タクシーは住所を聞くと、ドアを閉めさっそく出発した。マホーンの講演会場から家までは車で10分~15分だ。


疲れてタクシーで寝落ちしそうになるクレソン。そこにタクシー運転手の声を掛けられる。


お客さん! お客さん! 起きてください!


んあぁ!? なに?


起きましたか? 着きましたよ、寝てましたよね?


いいや、寝てない。まあウトウトはしてたかな。


タクシーはもう家の前に着いていた。クレソンの住む家はアパートだ。レンガ造りでレトロなデザインの造りをしている。A棟~D棟まであり、それぞれ7階建てのアパートだ。中に入るには鍵がいる。嬉しいことにエレベーター付きだ。


お客さん、もしかしてあの俳優のクレソン・ラトナーですか?


ええ、そうです。


映画見ましたよ! サインくれないか? えーと、この財布に。


いいですよ。


クレソンはタクシー運転手の白い長財布にサインをした。


こんな感じでいいですか?


はい! ありがとうございます!


君は白がすきなのか?


白い蛇柄がすきです。


え!? 蛇? なんてものを触らせるんだ! 蛇は苦手だ。


え? そうなんですか? もういいです。さっさと降りてください! ほら、はやく!


わかったよ! !


と、お金を運転手に渡し、クレソンはタクシーから降りた。


タクシーは去っていく。


まったく、なんてやつだ、くそ。


クレソンはそういうと、アパートに入った。クレソンの部屋は4階右奥407号室だ。クレソンはエレベーターから降りると、部屋の鍵を開け中に入った。


すると、そこに男がやってくる。


やあ! クレソン!


ん? ああ、ルーベン。


となりの406号室の長身の男だ。コミンスキー・メソッドのマイケル・ダグラスをもう少し、筋肉質にさせて、髪を伸ばしたダグラスのような男だ。黒髪だ。ひょうきん者で、いつも馬鹿なことをする。よく、クレソンの部屋に入り浸っている。


ルーベン、聞いてくれよさっきな、タクシーで帰ってきたんだけど。


と、マフラーやコートを脱ぎながらルーベンに話す。


どうした? なにかあったのか?


ルーベンはクレソンの冷蔵庫からジンジャーエールを取り出し、缶の蓋を開けて飲んだ。


ああ、さっきそのタクシー運転手からサインを頼まれたんだ、財布にって言われて。


それで?


その財布がな、白い蛇柄なんだ! 触っちゃったよ! 蛇嫌いなのに!


うわ、蛇か。でも死んでるし、財布だろ? 大丈夫だって。


だけど、キモイじゃないか。


まあ考えすぎだって。ほらこのジンジャーエール飲めよ。


このジンジャーエールは僕のだ、しかも飲みかけじゃないか。


あ、おっと。新しいのにするよ。


もういい。


そうだ、クレソン。明日用事あるか?


いやないけど?


じゃあ映画みるか? トッドとグレタも来る。


そうか、なにを観るんだ?


タクシーのひと時。


は?


あ、えーと、タクシーのひと時だ。


なんだそれ? 嫌がらせか? おい。


いやそういうつもりじゃ…… 。


じゃあなんだ?


たまたまだよ。


あっそ、わかった。その映画以外ならみてやる。おい、もう帰れ、俺はもうシャワー浴びてねるよ。


ああわかった。


ルーベンは自分の部屋へと帰って行った。


まったく。あいつは。


すると、なぜかルーベンが戻ってきた。


ジンジャーエール忘れてた。


と、キッチンに置いてあるジンジャーエールを取りそしてまた自分の部屋に帰った。


なんなんだ? あいつは。


クレソンはシャワーを浴びて、体を拭き、歯磨きしてベッドに横たわる。


クレソンの頭の中はこうだ。


「これこそベッドのひと時だ、本物のひと時だ」


すぐにスヤスヤとクレソンは寝てしまった。


次の朝に身の毛立つ事があることも知らず、気持ち良さそうに寝ていた。








ー ♯1 クレソンのひと時 ー つづく。

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