さむい季節はまだまだ続き、いまは3月。
マイオB棟の目の前には気が2本ある。枯葉がゆらりと落ちるなか、今日はクレソンの家に両親が遊びに来ていた。わざわざフェニックスからダラスまで飛行機でやってきた。
やあ! 父さん、母さん! よく来たね!
と、クレソンは父と母を部屋に招きいれる。
久しぶりだな! 元気だったか? クレソン。
と、父のノーランが言う。
ああ! 本当に久しぶりだね! 父さん、母さん! 元気だよ!
元気ならよかった。
母のエブリンが言う。
2人の手にはキャリーバッグがある。クレソンはそのキャリーバッグを2人から貰い、寝室のクローゼットの中に閉まった。
ありがとう、クレソン。
と、エブリンが言う。
そこにルーベンがやって来る。
ガチャっと勢いよく扉を開けた。
やあ!! クレソン寝てるか?
ルーベン、起きてるよ。今日両親が来てる。
そうか! 久しぶりですね、ノーランにエブリン!
久しぶりだな、ルーベン。
と、ルーベン、ノーラン、エブリンは軽く握手を交わす。
ところで、レモンはあるか?
と、ルーベンが聞く。
ああ、あるよ。冷蔵庫の1番下だ。
ちょい借りるぞ!あ、そうだ! エブリン、そのピアス似合ってるよ。
ありがとう、ルーベン。
エブリンはピアスや装飾品がすき。エブリンは綺麗な美熟女だ。ノーランは逆に装飾品は付けない。今日は灰色の温かい地味なジップパーカーを着ている。
ルーベンは冷蔵庫を漁る。レモンを見つけると、レモンを持って自分の部屋へと帰って行った。
じゃあ! またなノーラン、エブリン!
ええ、またねルーベン。
ルーベンが帰った後、ノーランは言う。
相変わらず変わったやつだな。
ああ、この前なんて食べ物買いすぎて、食べらるか賭けをしたんだけど、酷かった。
もうその賭けは分かってるな。
ああ、そうだよ父さん。
そういえば、お前にプレゼントがある。ほら、これだ。
と、ノーランは小さい箱をクレソンに渡す。
なんのプレゼント?
え?
え?
ほら、お前誕生日だろ?
いやちがうよ。
え?
ほら! ちがうじゃないの!
と、エブリンが言う。
父さん、今日何日かわかる?
3月9日だろ?
そうだよ。僕の誕生日は9月3日だ。
え…… 。
そう! 9月3日! やっぱりそうよね?
と、エブリンが言う。
まあ反対にすれば誕生日だけどね。あ、もしかしてサンタナと間違えてるんじゃないか?
サンタナ? あいつはなんだっけ?
あいつは3月9日が誕生日だ。今日だ。ちなみに僕は昨日プレゼントを渡してある。
そうか、サンタナが誕生日か。サンタナは今何してるんだ?
コメディアンだ。最近ラジオに出てた。
コメディアンか、それは名前的に面白そうだ。
実に興味深い。
そのプレゼントどうしよ?
貰うよ、プレゼントはいつになっても嬉しい。
喜んでくれるとはな!
クレソンはプレゼントを開ける。
おっと、これはティーカップか。しかもあのウェッジウッドじゃないか!? これは高級だ、誕生日には持ってこいだ!
誕生日じゃなかったがな。歳をとったせいか記憶力が低下してるな。
うん、そうだね。ありがとう。
そういえば、プレゼントと言えばラスコン夫妻の話知ってるか?
いや知らない。
話してやろう。その前にソファーに座ろう。
そうだね、父さん。
クレソン、ノーラン、エブリンはソファーに座る。
ノーランは去年のラスコン夫妻の話をするようだ。ラスコン夫妻はトッドの両親だ。この親も一味もふた味も変わった夫妻だ。心置きしてクレソンは聴く姿勢になる。
そして、その後ノーランは話始めたのだ。
ー #13 プレゼント? ー つづく。
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