朝、9時。トッドはまた車で彼女の家へと向かった。
家は、アーリントンのマッキンニー・ストリート1丁目。公園の近くだ。
トッドは車をローレンの住んでいるマンションの前に駐車した。降りると、インターフォンを押す。
普通のピンポン音が聴こえ、その後に彼女の声が聴こえる。
ちょっとまってて。
そういうと、彼女は扉を開ける。
来たのね、トッド。
それはどういう意味?
昨日の事で逃げるかと思った。
は? あれは僕は悪くない。
あっそ。今日はバーまでお願いね。また轢くの?
轢くわけないだろ! 昨日は偶然だ!
あっそ。早くして。
と、ローレンはちょっとキレ気味に言う。
わかったよ…… 。
トッドは鼻をすすりながら、車に乗る。
その後にローレンが助っ席に乗った。
さーて、行こうか。
今日は何を轢くのかしら?
轢かないよ!! もうっ! うるさいな!
と、トッドは少し怒る。
何怒ってる!? あなたが悪いんでしょ!
なんで!? 向こうが突っ込んできたんだろ!? 車もトッドも急には止まれないんだ!
でも、可哀想じゃないの! ていうか、早く動かして!
わかったよ!!
などど怒りながら車を発進させた。
ローレンの家から、マホーン講演会場のバーまでは車で25分~30分だ。中々遠い。
だが、そんな時間はトッドからしたら物凄い遠い時間、長い時間に感じた。実際はバーまで25分ほどで着くが、それが1時間運転している気分だった。車の中はまるでこの車が海に堕ちて、身動きが取れず下に下に海の底に沈んでいく。重い空気を感じる気がした。
そして、バーの手前で気落ちしていたトッドはパッと信号をみてから、その後目の前に視線を向けた瞬間、目の前に灰色の物体がガタンガタンッ! と音とともに突っ込んできた。
ぬおおおおんぬすっ!!!
と、トッドはびっくりして車を急ブレーキをかける。
だがまたしても轢いてしまった、鳩を。
は!? またなの!? またなの!? 何してるの!? あなた最低ね! このくそはげでぶトッド! 変なゲームにでそうなキャラみたいな名前ね!
と、ローレンはトッドを貶す。
そこまで言うか!? またあいつらが突っ込んできた! 今度はブレーキもかけたし! それでも突っ込んできたのはあいつらだ! 僕は悪くない!
あなた! 私はね、動物関連商品開発者なのよ! 鳩のグッズだって造ってる! もうイイわ、ここで降りる。スグそこだし! 着いてこないでね。
と、ローレンは降りる。
そして、ローレンはバーに入った。
ローレンは鬼のような顔をしていた。いや、ジュゴンが怒って牙を向けたような雰囲気だった。
バーに入ると、クレソンがいた。
ねえ!あなた名前は?
え? クレソンだ。
あなたの友達は本当にクソみたいな人間ね! 二度も鳩を轢くなんて!
は? なんだって!?
と、そこにトッドが追いかけてくる。
ローレン! ちょっとまってくれ!
着いてこないでって言ったでしょ!
落ち着けよ! たかが鳩だ!
と、トッドは彼女の手を掴む。
あ! トッドそれは…… ?
と、クレソンが言う。
すると、キャー! と声とその瞬間、ローレンの中の何かがプツンとなったのか思いっきりトッドの顔に強烈な蝶野並のビンタを喰らわせた。
その音はバー中に響き渡り、みんなの視線は倒れ込むトッドとビンタして手のひらを紅くするローレンになっていた。
あちゃー…… 。
と、言うクレソン。
まあ、こうなるよね。おれは帰るよ。
おい、この変態も連れっててよ! クレソン!
はいよ。起きろ、トッド。
と、トッドは右頬を押さえながら、店をでた。
フンッ!
と、ローレンは怒っていた。
クレソンとトッドはバーをすぐさま出た。トッドは死にそうな顔をしていた。メガネが衝撃で折れている。
いまのはお前が悪いトッド。
と、クレソンが言う。
そういいながら2人はとぼとぼと帰っていった。
トッドの車のボンネットには鳩の羽が3、4枚付いていた。
これが2日前の出来事だ。
この日、トッドは家でずーと顔をさすりながら寝ていた。
恋と言い回し、そしてトッドの行動は不適切だ。
ー #12トッドの不適切恋愛4 ー つづく。
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