クレソン、ルーベン、グレタ、トッドの4人は映画館をでて近くの切手屋に向かう。
そうだ、切手屋と言えば面白い話があるぞ。
と、クレソンが言う。
へぇー、どんなの?
と、グレタが答える。
逆さまジェニーって切手知ってる?
いいえ。
アメリカで初めて量産された飛行機ジェニー、双翼機を青色で中央部に刷るのだが、その際に4枚のシートが誤って逆に差し込まれエラー切手が生まれたらしい。
じゃあそのまま切手に?
そうみたいだな。
それは面白いわね。
俺が思うにわざとやったんじゃないか? だって量産型だからもう作りたくない! てそれが切手にも出たんだな。
そうね。あなたみたいな人間が作ればね。
そうだ、あの切手屋にはあの女性が居たね。
あの女性?
ほら切手屋の、えーと?
タイナ? タイナ・ロサス?
そう! ちょっと声を掛けてみようかな?
タイナはいい子だよな。
と、ルーベンが言う。
お前知ってるのか?
着いた! あそこだ。
4人はこじんまりとした切手屋に入った。看板にデカデカとピースの絵文字のイラストを掲げている。
入ると、警備員の大柄なボブ・クーパーがいる。
切手屋の警備員で、以前は軍隊にいたが、怪我をして除隊となった。その後ツテでこの切手屋に来た。
いらっしゃいませ。
と、ボブが言う。
やあボブ久しぶりだね。
クレソンか、久しぶりだな。グレタとはどうだ?
ん?グレタ? なんの話かな?
付き合って無かった?
いや付き合ってないよ?
そうだっけ?
ああ。
ボブ! 久しぶり!
と、グレタはボブにハグをする。
久しぶりだな! グレタ! 切手見てってくれ!
そうする!
レジに1人の女性がいる。
ちょっとグレタ行ってくる。
と、クレソンはレジにいる女性に近づく。
やあ、僕クレソン。君はタイナだったね。
あら、クレソン。
と、握手する。
君の噂は聞いてるよ。昔郵便局で働いてたみたいだね。今は切手屋か。なぜ切手屋に?
スカウトされたからよ。郵便局に飽きてたし。
そうなんだ! 切手すきなの?
切手すきよ! じゃなきゃ郵便局で働かないわよ。
知り合いに郵便局で働いてるやついるけど、そいつはサボりまくってた。手紙や切手に興味がない。知ってる? アーロン・リードてやつなんだけど。
知ってるわよ、同じ局だったから。
やっぱり! 郵便局で僕と会ってるかもね。君は綺麗だね。どうだろ? 僕の番号教えるから、デートなんて。
ううん、実はすきな人がいるの。
君に? どんな人?
同じ切手屋の人?
そうね。でもどちらかというと学芸員かな。
そうか。まあでも一応番号教えておくよ。
と、メモ帳に番号を書いてタイナに渡した。
ありがとう。
じゃあもう行くよ。
と、クレソンは動く。
クレソン! 丁度良かった帰りましょう。
ああ。
4人は外へでると話す。
で? タイナはどうだった?
それがすきな人がいるって。番号は渡した。
そっか。
クレソンナンパは失敗した。
何買った?
逆さまジェニーよ。
クレソンはニヤニヤしながらグレタのほうを見る。
クレソンは面白がっていた。
帰りの電車でも逆さまジェニーで持ち切りで笑っていた。
まさか、逆さまジェニーが運良くグレタの手に渡るとは思ってなかった。
ー #5 逆さまジェニー ー つづく。
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