駅まで送ってもらう小百合。
「じゃあな委員長。また明日な」
和弥はNinja400のアクセルを吹かすと、文字通り消えるように去っていく。
小百合は、和弥が見えなくなるまで手を振り続けた。
(ああ……竜ヶ崎くん帰っちゃったわ……)
気がつくと小百合の胸の動悸は、走り終えた後のように昂っている。
(やっぱり私もお母さんの娘なのね……お母さんが恋してた人の息子に……」
大勝負を終えたボクサーのように、その場に立ち尽くす小百合であった。
信号待ちでNinja400を停めると、スマホが振動しているのが分かる。
(誰だよ……)
一旦道路脇に寄りスマホを確認すると、何と小百合からであった。
そしてメッセージが1つだけ届いていた。
『今日はありがとう』
(委員長……)
すぐに返事を送ろうとした和弥だが、何と返信してよいか分からずスマホをポケットにしまう。
そしてNinja400に跨り、家路を急ぐのであった。
和弥が帰宅すると、誰もいないマンションがひと際大きく見える。
(誰もいないっていいよな……)
一人暮らしは寂しいとか言う人もいるが、和弥はそう感じたことはない。
和弥自身が自立しているせいか、人付き合いの苦手なせいか、あるいはその両方か。
今までも新一が“夜の住民”だっただけに幼少から一人で過ごすのは当たり前だったし、とにかく一人でいることに寂しさを感じたことはないのだ。
しかし今日は違った。
小百合から届いたメッセージが頭から離れない。
(委員長………俺のことが……?)
「いや!そんなわけねぇ!」
和弥は頭を振りながら叫ぶと、冷蔵庫から缶ビールを一本取り出した。
勿論未成年飲酒なのは分かっている。しかし本来飲むはずだった新一は、もうこの世にいない。
「捨てるのももったいないしな。すまねえオヤジ!」
プルタブを開けると、一気にビールを流し込む。
「ぷふぁー!」
大して美味いとは感じなかった。が、和弥は一気に飲み干すと、缶を握りつぶす。
(あんなスーパー美少女が、俺のことを好きになるわけがない………)
しかし和弥は、その思いを打ち消そうとしていた。
(でも……もしかして……)
と、そんなことを思っていると、またもスマホが振動している。
「何だ?!……げっ!」
スマホの画面を確認すると、そこには小百合からのメッセージが表示されているではないか。
『今日はありがとう。明日もまた話したいわ』
(委員長!)
もうそれだけで鼓動が高まる和弥は、慌てて返事を打ち込む。
『いや、こちらこそ』
そしてすぐにスマホから着信音が鳴り響いた。小百合からである。慌てて通話に出る和弥。
『こんばんは。今何してるの?』
「家にいる」
ほんの僅かの沈黙。意を決したように、小百合は切り出す。
『私、竜ヶ崎くんのことが…』
(委員長……)
もう和弥の鼓動は、爆発寸前であった。
「待ってくれ委員長……その言葉の続きは大会終わってから改めて聞きたい」
和弥が小百合からの告白を期待したことは言うまでもない。
だが、小百合の返事は意外なものであった。
『分かったわ。じゃあ、大会が終わったら改めて貴方に伝えるわね。それじゃあお休みなさい』
「あ……ああ……。おやすみ」
和弥は拍子抜けした。が、小百合らしいと納得もしたのだった。
ついに23日…。
運営が新規アカウント停止してから1年経ちましたね。X(旧twitter)も去年5月になってからストップしてるし…。
こりゃ考えた方がいいですかね。
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