ボクとサナ ~淫魔はミステリーに恋し、ロジックを愛する~

プリンを食べたのは誰?
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公開日時: 2021年3月16日(火) 21:00
文字数:953

「えっと、それでですね。実は佐藤先生にお伺いしたいことが――」

「あれ? そのUSBメモリ……先生、それ前のと同じやつッスよね?」


 今度は純夏に話を遮られた。


「同じの買ったんスか?」

「そうだよ。それがどうかしたかい?」


 何だろう。

 気のせいかもしれないが、津の純夏を見る目つきが険しい気がする。


「ああ、いや。ただ何となく気になっただけで、特に何があるというわけでもないんスけど……」


 純夏が言及しているのは津のノートPCに挿さっているUSBメモリのことだろう。


 特に変哲もないただのUSBメモリに見えるが、純夏は何が気になったのだろうか。


 シオンが不思議に思っていると、嶺二と三葉が話し出した。


「やらかしのナンバーいくつでしたっけ?」

「ナンバー8ね。もちろん、写真は部室に保管してあるわ」


 USBメモリは純夏のやらかしと関係があったらしい。


「烏丸くん、何をしたんですか?」

「いや、その……踏んじまったんだよ。佐藤先生のUSBを」

「踏んだだけじゃないよね、カラスくん?」

「粉々に粉砕してたよな、烏丸」

「そ、そんな粉々ってほどじゃなかったっスよ! ……たぶん」

「ふふっ、後でシオンくんにも写真を見せてあげるね。そしたら、誰が正しいこと言ってるのかわかるから」


 十中八九正しいのは三葉と嶺二なのだろう。


 そもそもUSBメモリは誤って踏んだくらいではそうそう壊れない。

 踏んだだけではなく、やらかしと称されるような何かを純夏がしたことは間違いない。


「サトシン、あの時かなり怒ってたよねー。うー、思い出しただけでも震えちゃうよ」

「いや、ほんと……あの時はすんませんでした」

「いいんですよ、過ぎたことですから。次から気を付けてくれれば。それより、写真を残してあることの方が驚きました」

「カラスくんのやらかしシリーズなら全部保管してありますよ! USBメモリの写真も粉々具合から、やらかした瞬間のカラスくんの表情までバッチリ!」

「そ、そうなんですね……」


 津は若干引き気味だ。


 本人は許したとは言っているが、USBメモリも無料ではないし大事なデータが入っていた可能性だってある。

 津も純夏同様に、あまり思い出したくはないのかもしれない。


「……もしかして、さっき話していたやらかしってこのことなんですか?」

「ううん、違うよ? まったく別の話」


 ややこしい……。

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