気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

動物には優しくしよう! 給料もらってないから

公開日時: 2022年6月11日(土) 14:00
文字数:1,883


 散々な昼食タイムだった。ひなただけだが……。

 また彼女のテンションが下がってしまい、

「私ってなんか厄日なんですかね?」

 と嘆くので、俺は再度も盛り上げるために、今度は動物たちと身近に触れ合えることができる屋外エリア、かいじゅうアイランドを勧めた。


 アザラシやペンギン、イルカなどにエサをあげたり、自身の手で触れるという、動物好きからしたら、たまらないイベントも用意されていると聞く。


 それを提案すると、ひなたは大喜び。

「あ、私。そこ大好き! 早くいきましょ!」

 どうやら、気分が上がってきたようだ。


   ※


 地下のレストランから一階にあがり、水族館の一番奥へと進む。

 暗い館内を歩くこと数分後、ようやく明かりが見えてきた。


 かいじゅうアイランドは、屋外に建てられた円形の二階建てのプールだ。

 二階でエサを買い、水面からニョキッと顔を出すアザラシに食べさせることができる。

 と言っても、ポイッとトングで魚を放り投げるだけのなのだが。


「うわぁ、可愛い~!」


 かれこれ、3回もエサを買ってはアザラシの鳴き声に喜ぶひなた。

 しかし、あれだな。

 アザラシの鳴き声っておっさんみたいだな。

「うごおええ!」

 なんて、クレクレするんだから。


 アザラシにエサを与えて満足したひなたは、次は「一階へと降りたい」と言う。

 先ほどのアザラシおじちゃんたちは、基本エサをあげる時以外は、水面下の深いプールで泳いでいるからだ。

 らせん状のスロープを下っていくと。

 所々に小さな窓があり、そこから泳いでいるアザラシが見える。

 時折、ぬおっと顔を出してくれて。

「アハハ! 可愛い~」

 とひなたは手を叩いて喜ぶ。


 アザラシを堪能したあと、一旦外に出て、次は反対方向にあるペンギン達を観に行く。

 よちよちと歩いて、スタッフのお姉さんと戯れている。

「センパイ、一緒に写真撮りましょ!」

「おお……」

 ひなたがスマホを取り出し、自撮り棒を向けてペンギンたちを背景にパシャリ。

「やったぁ! センパイとペンギンさんたちの写真撮れたぁ! これって激レアじゃないですか?」

「え、なんでだ?」

「だって、センパイってこういう所、一人じゃ来ないでしょ? 多分、私が誘わなかったら、一生撮れない写真でしょ♪」

「そ、そうか?」

 なんだろ。軽くディスられた気が……。



 最後は、イルカと一緒に記念撮影が出来るプールに行ってみた。

 かなりの人気ぶりで、カップルや家族連れで賑わっている。

 俺たちも行列に、並んでみる。

「センパイ、ここで撮影するの初めてでしょ?」

「ああ、子供の頃に来たが、こういうのはやらなかったな。ていうか記憶が曖昧だ」

「ははは! やっぱりセンパイっておっさんくさい! 撮る時にイルカさんに触れるんですよ♪」

「ほう。それはなかなか経験できないことだな」

 ていうか、いちいち人をおじさん扱いすな!



 俺たちの番になった。

 イルカは水面から出てきて、プールサイドで大人しくスタンバっている。

 隣りにスタッフのお姉さんが座っていて、無賃労働のイルカさんに報酬として、小魚をあげている。

 床は水でかなりヌルヌルしていて滑りそうだ。歩くたびに転んでしまいそうになる。

 俺もひなたもペンギンのように、よちよち歩きで慎重に進んだ。


 やっとのことで、イルカとご対面。

 俺がイルカの背中側、ひなたは頭を撫でている。

「きゅ~」

 なんて声をあげている。

『早く終われや。わし、疲れとんじゃ』

 ていう意味なのだろうか?


 ひなたはスタッフの人にスマホを渡し、撮影をお願いする。


 俺もイルカの背中に恐る恐る触れてみる。

 柔らかい……そして、僅かだが鼓動を感じた。


「では、一枚目いきますよ~ 彼氏さんもこちら向いてくださ~い!」


 スタッフにそう言われて、視線を戻す。

 ひなたが「ピ~ス!」なんて言うので、俺も一生懸命、笑って見せる。


「はい、チーズ! あ、もう一枚いっときましょう! お二人ともスタンバイいいですか?」


「あ、は~い! センパイ笑って笑ってぇ~」

「に~!」

 なんだか作り笑顔していると、歯ぎしりしているみたいに感じる。


 二枚目の写真が終わり、撮影した写真をひなたが確認し「よく撮れている」と満足していた。

 記念撮影も無事に終わったので、俺たちはプールサイドから出ることにした。

 次の客が待っているし。


 俺はひなたが転ばないように手を繋いで、アシストしてみる。

「センパイ、優しい……」

 こういう待遇に慣れていないひなたは、相変わらず頬を赤くしていた。

 二人して歩いていると、次の客とすれ違う。


 ハンチング帽を被り、サングラスにマスク姿。夏だというのにトレンチコート。

「あ」

 思わず、声に出る。

 こいつ……ひなたを押した犯人じゃないか?

 そう思った時、もう全てが遅かった……。


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