気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

受付ショタ

公開日時: 2022年7月7日(木) 14:00
文字数:1,341


 結局、母さんに相談しても、腐女子の落とし方なんて分からなかった。

 とりあえず、変態のおぞましい願望が常に脳内で漂っているのは、把握できたと思う。

 近隣の警察署に届け出しておくか。


 

 気がつけば、夏休みもあと一ヶ月。

 もう8月だ。

 窓の外からは蝉の鳴き声が聞こえてくる。

 クーラーをつけているから、窓は閉め切っているというのに。

 ったく、余命一週間の生き物なんだから、そんなに叫ぶなよ……。


 なんて思っていると、一本の電話が。

 珍しい名だ。

 ロリババア。

 出版社である博多社、俺の担当編集部員、白金 日葵。


「もしもし」

『あ、DOセンセイ! 今、暇でしょ? 久しぶりに打ち合わせしますよ!』

 だから、どいつもこいつも、なんで俺を勝手に予定無しと決めつけるんだ。

「打ち合わせ? なんの?」

『実は表紙絵と挿絵をトマトさんが、ついに完成させたんです! DOセンセイにも是非見てほしくて!』

「なるほど。それは楽しみだ」

『ええ、じゃあ。あと一時間以内に編集部まで、おなしゃす!』

 と一方的に電話を切られる。


 クソがっ!

 まあ、どうせ今日は夕刊配達も休みだったし、明日の朝まで何もすることない。

 久しぶりに外出するか。


   ※


 久しぶりの天神は、殺人的に日差しが強く、アスファルトから熱気がむんむんと跳ね返ってくる。

 二重で暑苦しい。

 喉がカラカラだ。

 相変わらず、バカみたいに目立つ巨大なビル。

 博多社。


 自動ドアを通り過ぎると、すぐに受付のカウンターが見えた。

 だが、今日はいつも何か様子が違う。

 普段ならば、

「あら~ 琢人くん~」

 なんて倉石さんが声をかけてくれるのに。


 受付嬢ではなく、受付男子? とでも言えばいいのだろうか。

 かなり若い男性……いや、男の子か。

 頬がまだ赤く、幼く見える。

 天然パーマのショートボブ。

 大きな瞳に童顔。髪型も中性的で、少し間違えれば、女の子に見えそう。

 そんな彼は、上下真っ白な制服を纏っている。

 細身のボタンジャケット、タイトなスラックス。

 この受付にいなければ、海軍のセーラー服のようだ。


 俺が黙って突っ立っていると、

「あ、あの……我が社に何か御用でしょうか?」

 なんて、たどたどしく声をかけてきた。

 初対面の俺にかなり脅えている。

「お前、誰だ? 倉石さんはどうした?」

 不思議に思った俺は、彼の顔をじっと見つめる。

「ひぃっ! く、倉石さんは異動となりました。今はBL編集部で編集長をやっています……」

「ああ。そう言えば、そうだったな」

 忘れてた。

 それにしても、この兄ちゃん。

 なんでこんなに脅えているんだ?


「お前、随分若いな。年はいくつだ? 名は?」

「ひ、ひぃ! ぼ、僕ですか……年齢は16歳です……名前は、住吉すみよし はじめと言います」

 俺より年下か。

「住吉 一か。認識した。俺は新宮 琢人。一応、お前より年上の作家様だ」

 とりあえず、マウントを取っておく。

「ひぃ! これは作家様でしたか! では、どちらの編集部にお繋ぎすればいいでしょうか?」

 なぜ涙目なんだ?

 別に住吉が悪いわけではないが、見ていると、いじめたくなるな。

 

「ゲゲゲ文庫のバカを呼んでくれ」

「あ、倉石さんより伺っております。白金さんですね。少々、お待ちくださいませ。新宮様」

 なんて律儀に頭を垂れる住吉。

 ヤベッ、超気持ちイイわ。

 

 母さんの言っていたショタをいじめる快感ってのは、こういうことなのか?

 ちょっと、癖になりそう。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート