気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

第三の人格

公開日時: 2022年8月31日(水) 14:00
文字数:1,270


「うっ! DOセンセイ!」

 顔を真っ青にさせる白金。

「どうした?」

「すいません……今、めっちゃ太くて長いのが出そうなんで、またお手洗いに行ってきていいですか?」

 こいつは、いちいち汚い情報を追加しやがる。

「行けばいいだろ」

「30分以上はかかると思うんで! あ、ヤベッ。漏れそう……じゃあ行ってきます!」

 そう言って白金は、走り去る。

 本当にガキじゃねーか。あのバカ。


   ※


 俺はまたしばらく暇を持て余すことに。

 ボーッとしていたら、アンナからL●NEが届く。

『タッくん。このマンガ、すごく良く描けてるね☆ アンナが写真みたい☆ これ大好き!』

 それ、俺が描いたんじゃないんだよなぁ。

 しかし、モデル本人が喜んでくれたんだ。

 嫌な気分ではない。

 とりあえず返信しておく。

『それは良かったな。これもアンナの取材のおかげだ。ありがとう』

『ううん☆ 二人で頑張ったからだよ☆ これからもいっぱい取材しようね☆』

 その一言で、自然と口角が緩む。

 また、あいつとデートできるってことか……。

 スマホを見ながら、アンナとのL●NEを楽しんでいると。

 画面が急に暗くなった。

 雲で太陽が隠れてしまったのかと、空を見上げる。

 だが、今日は雲1つない日本晴れだ。


「ん?」

 それは人の影だった。

 目の前に視線をやると、1人の少女が立っていた。

「あの、サイン会はここであっているのかしら?」

 随分と上品な喋り方だなと思った。

「そうですが」

 俺がそう言うと、少女はニコリと笑う。

「フフッ。タクト……遂に約束を果たしてくれたのね。嬉しいわ」

「へ?」

 どうやら、顔見知りらしい。

 俺は、その声の持ち主をじっと見つめてみた。


 黒を基調としたシンプルなデザインのミニワンピース。

 胸元には白い大きなリボン。

 細くて長い脚はタイツで覆われている。

 陽の光に当てられ、輝くのは金色の長い髪。

 

「あ、アンナじゃないか……」

 思わず声に出してしまう。

「何を言っているの? タクト。相変わらず、あなたって記憶力が悪いわね」

 なんて頭を抱える。

「お前こそ、何言っているんだ? さっき会ったばかりだろ?」

「冗談もそこまでくると、不快よ。とりあえず、私は約束を果たしに来たのだけど。小説はどこにあるのかしら。ネットで売り切ればかりで、買えなかったわ」

 なんだ、アンナのやつ。

 妙にお高く留まっちゃって。

 調子狂うな。

 もしかして……また新しい人格でも作ったのか?

 これも取材ってやつか。

 仕方ない。合わせるとしよう。


 とりあえず、俺は第三の人格ちゃんに付き合ってあげることにした。

 テーブルに並んでいる大量のラノベを指差して、「これだ」と説明する。

 先ほどと同じ反応で、彼女の顔は凍りつく。

「な、なによこれ……」

「え?」

「私がモデルなんでしょ、これ」

「ああ。表紙と挿絵は違うけど。小説の中身は間違いなく、お前だ」

 深いため息をつくと、財布を取り出す。

「ハァ……なら、それでいいわ。全部ちょうだい。サイン入りでお願い」

「いいのか? さっきも買ってくれたのに?」

「えぇ、そのために日本へ帰国したんだもの。タクトとの約束じゃない」

 なんか話が全然嚙み合わないな。

 一体、今度の人格はどんな設定なんだ?

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