気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

デジャブ

公開日時: 2022年3月3日(木) 18:17
文字数:2,609



 ドクターフィッシュにより、ミハイルと夜臼先輩はその後も何回も『脳イキ』しまくっていた。

 俺は肌がツルツルになって満足。

 ミハイルは終わってもまだ、頬が赤い。


「ハァハァ……なんか変な気分だったけど、気持ち良かったぁ☆」


 エロい魚だと誤認するなよ。

 かわいそうだろう。


 夜臼先輩はまだ残ると言っていたので、俺とミハイルは二階から階段で降りて、プールに向かう。

 

 ビーチという表現が正しく、押しては返す白い波が目に入る。

 

 プールサイドで、競泳水着を着たひとりの少女がいた。

 巨乳の眼鏡っ子。

 北神 ほのかだ。

 泳ぐわけでもなく、大きなタブレットを片手に、何やら絵を描いている。


「うひひっ! 尊いでぇ~ ここには素材になるショタも豊富や~ あ、でも、あのキモデブおじさんもヒロインに使えそう~ ひゃっひゃっ!」


 と、涎を垂らして、近くにいた親子をガン見している。

 右手は、ペンを激しく揺らせて……。


「おい……ほのか、せっかくプールなんだから、泳いだらどうだ?」

 すかさず、声をかける。

 犯罪になりかねないので。

「あ、琢人くん! こんなにショタがいっぱい見れる機会ないから、これで絡めまくることができるわ!」

 目が血走って怖いです。

 そこにミハイルが、割って入る。

「ねぇ、ほのか。絡めるってなあに? さっきから、なに書いてんの?」

 ミハイルが尋ねると、ほのかはニヤァと怪しく微笑む。

「観たいの~? ミハイルくんも~? 仕方ないなぁ~ 見せてあげるぅ」


 頼んでもないのに、液晶画面をこちらに向けた。

 

「うえっ!」


 俺たちのすぐ近くで、ビーチボールを楽しむ親子連れを、エロマンガにしていた。


『おじさん、らめぇ!』

『いいじゃないか……僕は君みたいな少年が大好きでねぇ。もう止まらないよ』

『あぁん! おじさん、好き好き~! もっともっとぉ!』


「どう! 琢人くん!? これ、今度、編集部に持っていこうと思うの! 採用されたら、私もこれで晴れて商業デビューね♪」

 悪びれる様子は一切ない。

 もうこの人、病院に連れていくべきでは?


「あのな……せめて、帰ってから描けよ。あの親御さんにバレたらどうする気だ?」

「別によくない? だってほら、あの子も作品みたいなこと言っているよ」

 ほのかが指差すので、振り返る。


「パパァ~ ボール遊び楽しいねぇ~ パパのこと大好き!」

「そうだなぁ。パパも大好きだよぉ」


「……」

 好きの意味が違う!

 

「頭痛くなってきた……」

 俺がそうぼやくと、ミハイルは対照的に、じーっと黙って液晶画面を見つめる。


「うーん、男の子の方は上手く描けてる気がするけどぉ。おっさんの方がなんか、あんまりかな?」

 それを聞いて、ほのかが鼻息を荒くする。

「え? どこが!?」

「オレには絵とかよくわかんないけど……ほら、あのモデルになってる人って、もっとすね毛とかヒゲとかさ、毛深いじゃん。ほのかが描いているおっさんは、ちょっとキレイすぎるんじゃない?」

 モデルを目の前に、酷いことをサラッと抜かすミハイル編集長。

「なるほど! ヒロインはちゃんと忠実に描かないとね! ありがとう、ミハイルくん!」

「いや、オレなんかで、ほのかの漫画のお手伝いになれるなんて……エヘヘ」

「謙遜は良くないよ、ミハイルくん。フフフ」

 全然笑いごとじゃない。



   ※


 変態女先生は、放っておいて、俺たちはさっそくプールに入ることにした。


「キャッ! つめた~い!」

 と悲鳴をあげるが、ミハイルの顔は嬉しそうだ。

「確かに冷たいが、楽しいな」

「うん☆ これでもうオレたち二回目のプールだもんな☆」

「え……?」

 設定、設定忘れているよ! ミハイルさん!

 この前はアンナモードだったじゃん。

「え……あ! い、いや、初めてだったよな☆ なんか、この前アンナがさ。タクトとプール行ったって聞いたから、それで間違えたみたい…ハハハッ」

 笑ってごまかす女装癖のヤンキー。  

「そ、そうか……まあ、奥まで行ってみようぜ」

「うん☆」


 

 プールの波は一定の間を置いて、発生する。

 30分に一回、特に激しい波が押し寄せてくる。

 あまりに強い波なので、アナウンスで「小さなお子さんは離れてください」と注意されるぐらいだ。

 まあ成長した俺とミハイルなら、大丈夫だろう。


 どんどん、奥へ奥へと進む。


 次第と波が深くなっていき、水が胸元まで浸かるほどだ。


「うわっ! けっこう、深いじゃん」

 俺が胸元まで浸かるぐらいの深さだから、低身長のミハイルは水面から首を出すのがやっとだ。

「あんまり、無茶するなよ。ミハイル」

「大丈夫だよ☆ オレってタクトと違って運動しんけー良いからさ☆」

 あーそうですか。


 その時だった。

 背後から、叫び声が聞こえてくる。


「ヒャッハー! いい波だぜぇ~!」


 迫りくる超ど級の巨乳、ブルンブルンと左右に暴れまくっている。

 今時珍しいハイレグのビキニを着ているビッチ、宗像 蘭。

 サーフィンボードに両脚を乗せ、波の動きに合わせて、上手い事進んでいる。

 海にいるヤンキーじゃん。


 しかも、片手にハイボール缶を掴んでいた。


「どけどけぇ~ 今日はいい風じゃないかぁ!」


 この波、人工で作られているんですけどねぇ。

 教師のくせして、プールの禁止事項を全部破っている。


「ヒャッハ~!」


 奇声をあげてどこかに行ってしまった。

 嵐のようなクソビッチ。


「まったく、宗像先生にも困ったものだな……。なぁ、ミハイル」

 隣りを見ると、そこには誰もいなかった。

「ミハイル? どこだ?」

 はっ、まさか!

 水中に潜って見ると、足をバタバタさせて苦しそうにもがく彼の姿を確認できた。


 俺はすぐに泳いで、ミハイルを救いに行く。

 抱きあげて、水中から出してやると……。

「ぷっは! ハァハァ……ごめん。溺れちゃったみたい」

「いや、俺は構わんが、ミハイルは大丈夫か? 水を飲んだか?」

 心配で彼の顔を覗き込む。

 水の中で暴れたせいか、結っていた長い髪がほどけている。

 濡れた小さな薄い唇、キラキラと輝くエメラルドグリーンの瞳、頬を伝う雫。

 どこか色っぽい。

「あ、ありがと……そのちょっとだけ飲んじゃったけど、オレは大丈夫」

 頬を赤くする。

「そうか。ここは深いから浅いところまで戻ろう。それまで、俺にしっかり掴まっていろよ」

「う、うん」

 

 俺は男のミハイルをお姫様抱っこで、波と同じ方向にゆっくり歩く。

 抱きかかえられた彼は、顔を真っ赤にして黙り込む。

 細い両腕を俺の首に回し、俯いている。


 当の俺はと言えば、桃のような丸くて小さなお尻を手の甲で楽しむ。

 股間がパンパンになり、激痛を覚える。

 あれ……なんかデジャブを感じるのは、俺だけでしょうか?

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