気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

ヒロインにはモデルがいる

公開日時: 2021年7月17日(土) 11:02
更新日時: 2021年10月13日(水) 12:27
文字数:2,234

「で? そのラブコメのプロットは?」

 宗像先生が目で殺しにかかる。

 これは出さないとレポートを増やされる……。

「わ、わかりましたよ……てか、宗像先生は関係なくないですか?」

「あぁん!?」

 だからその恐ろしい眼光を放つのをやめてくれよ。

「だ、出します……」

 観念した俺はリュックサックからノートPCを取り出した。

 もち、校則違反だけど。


 起動すると、すぐに書きかけのテキストファイルを開く。

 すると白金、宗像先生、ミハイルが顔を寄せてモニターをのぞき込む。



 タイトル:未定

 

 主人公:オタクの高校生。

 ヒロイン:同級生でハーフ美人の女の子。普段はショーパンにタンクトップとボーイッシュだが、

 デートするときは主人公好みな女の子らしいガーリーなファッションを好む。

 備考:主人公だけが大好き。



「……」

 ミハイルが顔を真っ赤にして、口を真一文字にする。

 そりゃそうだろな、これってミハイル=アンナのことだからな。


「ほう……新宮。お前、女を自分色に染めるタイプか?」

 宗像先生がニタニタと笑う。

 これはいじめだ!

「い、いえ。あくまでもフィクションですよ……やだな、先生」

 苦笑いが言い訳を助長させる。

「DOセンセイ! なんですか、このヒロイン!」

 白金はテーブルを叩いて、眉間にしわを寄せていた。

「なんだ? やはり、ボツか?」

「……いえ、このヒロインは合格です! センセイの作品の中で一番、キャラ立ちしていて、なによりライトノベルの読者がほぼ童貞というリサーチ結果をふんでの構想。実にすばらしいです!」

 おまえ、読者様になんてことを言ってんだ!

 非童貞もいるだろ! 知らんけど。


「そ、そうか……じゃあ主人公はどうする?」

「うーん、こんな可愛いヒロインさんが、べた惚れになる男なんてこの世にいます?」

 ここにおるんだが。


「日葵。お前、本当に出版社の人間か?」

 横から入る外部の人間。

「なぁに? 蘭ちゃんは素人じゃん。黙っててよ。それともなんかいい案があるの?」

 白金がムキになっていると、それをあざ笑う宗像先生。


「だってあれだろ。フィクションだろうと、新宮は取材しないとダメな作家なんだろ?」

「……?」

 なんか嫌な予感。


「こうしろ、主人公は新宮本人をモデルにすればいい」

「はぁ? DOセンセイを?」

「ヒロインもモデルがいるんだろ? なら主人公は新宮でいいじゃないか?」

 クッ、俺が一番危惧していた展開だ。


「なるほど……DOセンセイ! それでいきましょう! 主人公はDOセンセイ本人で!」

「嫌だと言ったら?」

 俺が震えた声で尋ねる。


「断ったら、これまでの数々の経費を却下しますよ!」

 経費、それはなんてすばらしい言葉なのだろう。

 仕事に関わるものであれば、なんだって所属している出版社が支払ってくれるのだ。

 ちなみに俺の今月の経費はほぼ映画の料金だ。

 たぶん3万ぐらい……。


「や、やるよ……」

「これで決まりですね! 引き続き、その取材対象の方に恋愛を教わってください♪ これは業務連絡ですからね♪」

 ニコリと笑う白金。しかし、目が笑ってねぇ。


「了解した」

 ミハイルに目をやると顔を真っ赤にして、床ちゃんとお友達している。

 ふむ……これは面倒なことになったな。



 ~帰り道~


「なあ本当に良かったのか、ミハイル?」

 うなだれる彼に声をかけた。

「え、え……オレ?」

 額から汗が尋常じゃないぐらい流れているぞ。

「ああ、お前の……いとこに迷惑かけてないか?」

 なんか言葉遊びになってない?


「アンナのことか? なら、大丈夫! タクトのこと気に入っているらしいから☆」

 なに、この遠回しな『I・LOVE・YOU』わ。


「まあアンナがいいなら構わんが」

「大丈夫だって☆ オレのいとこなんだから」

 お前にいとこがいたら、ヒドイ目にあっているんだろうな。


「そうだ☆ 今朝、アンナからオレにL●NEが届いてさ……」

 自分から自分にL●NEって、病んでない?

「タクトとアンナって、一緒にプリクラ撮ったらしいじゃん?」

 可愛らしい夢の国のネッキーがショーパンからニョキッと現れる。


「やぁ、ボクの名前はネッキー。今日はとっても天気がいいね! 一緒にひきこもろう!」

 なんていいそうだな。


「なに言っているんだ? タクト?」

 ネッキーをおもちゃにしたせいか、ミハイルさんに睨まれた。


 スマホを手にとると、スワイプする。

 待ち受け画面がでた瞬間、俺は愕然とした。


「タクトの写真だから待ち受けにしちゃった☆」

 しちゃった☆ じゃねー!

 引きつった笑顔の俺と女装したミハイル……つまりはアンナとのツーショット写真。

 情報がダダ漏れじゃないか。


「そうか……なあ、その写真、どうやって送られてきたんだ? アンナがスマホでプリクラを撮ったのか?」

 いわゆるデジタルフォトに近いものであったので、興味がわいた。


「これ、知らないの。タクト?」

「え? なにがだ」

「プリクラ撮ったらIDとか書いてあるじゃん? バーコードとか」

「そんなものあったか?」

「あったよ! そのIDとかバーコード使うと、無料でサイトからダウンロードできるんだよ☆」

「なるほどな……俺も帰ってダウンロードしてみるか」

 そう言うと、ミハイルは嬉しそうにニッコリ笑った。


「オレの写真、メールで転送してやるよ☆」

「す、すまんな……」

 その作業はアンナちゃんにやらせてよくね?


 色々と手順が面倒な多重人格さんだな。

 駄弁りながら、俺とミハイルは赤井駅に向かった。


 そして電車に乗ると、今回は真島まじま駅で降りるのではなく、席内むしろうち駅で二人して降りた。


「さあ、タクト☆ オレが席内を案内してやるよ☆」

「了解した」

 案内されるまでもないだろ……。

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