気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

男の娘VSギャル

公開日時: 2022年5月24日(火) 15:08
文字数:2,213


 超絶腐女子の北神 ほのかに告白して、無惨に散ってしまった千鳥 力だったが。

 なんとマブダチであるミハイル。いや正体を隠している女装男子アンナちゃんから、

「まだチャンスはあるよ☆ 取材してあげたらいいんだよ☆」

 と優しく彼の手を握る。


 取材と言っても、彼女のいう取材とは、ほのかの描くBLマンガのために『同性愛』。

 つまり、リキ自身が見知らぬ、おじさまと仲良しすれば、きっと腐女子の彼女は振り向いてくれる。

 そう提案したのだ。


 理解できていな当のリキと言えば、希望を見出したかのように、瞳をキラキラと輝かせる。

「ありがとな! アンナちゃん! 俺も取材を頑張ってみるぜ!」

 やる気出すなよ、リキの兄貴……。

「うん☆ リキくんなら絶対ほのかちゃんと恋仲になれるよ☆ ていうか結婚できると思うの☆」

 生涯、苦労すること間違いなし。

「おお! じゃあ、さっそく取材のために、なにをすればいいかな?」

 すると、アンナは俺の方を見つめる。

 怪しく微笑んで。

「タッくん☆ 教えてあげてね」

「は、はい!」

 目が笑ってないから、怖すぎる。


 とりあえず、俺はリキと携帯電話の番号とメルアドを交換し、後日連絡するとだけ言っておいた。

 あんまり関わりたくないけど……。


   ※


 意気投合したリキとアンナは、両手で握手を交わし、

「お互い頑張ろうぜ!」

「頑張ろうね☆」

 なんて男同士の友情が深まってしまう。(女装してるやつと)


 リキは嬉しそうにエレベーターで自身の部屋に戻っていく。


 二人になった途端、アンナは俺の顔をじっと見つめる。

 いつもの優しい彼女に戻っていた。

「タッくん。今からどうしよっか?」

「ああ……どうするかな……」

 

 その時だった。

 背後に人影を感じたのは。


「あれぇ~? オタッキーじゃ~ん!」


 振り返ると、そこには伝説のヤンキーの一人。

 どビッチのここあこと、花鶴 ここあだ。


「は、花鶴!?」

 動揺を隠せない。

 なぜなら、俺の隣りに、彼女の親友でもあるミハイルが女装して立っているからだ。

 だが……先ほど、リキの前では、アンナの正体はバレていなかったな。

 今回もやり過ごせるのでは?


「あ、ここあ……」

 思わず、口からこぼれてしまう。

 俺に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声だったが、完全に素のミハイル。


「ん~ 隣りの子って……」

 マジマジとアンナを眺めるここあ。

 上から下まで。


 アンナと言えば、額から尋常じゃないぐらい大量の汗を吹き出している。


「あ、あ、ども~ わ、私。ミーシャちゃんのいとこで、古賀 アンナって言います~」

 緊張からか、声が裏返っている。

「はぁ? ミーシャのいとこ? あーしさ。ミーシャとすっごい長い仲なんだけど。聞いたことないよ」

 睨みをきかせ、背の低いアンナに目線をあわせるため、腰を曲げて、彼女の顔を覗き込む。

「え、えっと……その。私は、遠くに住んでいたから、ここあちゃんも知らなかったんだと思う、よ?」

 なぜ疑問形。

「ああん? あんたさ。あーしをなめてない?」

 日頃バカそうな花鶴にしては、かなり苛立っているように見える。

 それに脅えるアンナ。

「な、なめてない! なめてないよ!」

 小さな顔を左右にブンブン振り回して、否定する。

「大体さ、なんであーしの名前を知ってんの? おかしくない?」

 正論だ。自ら墓穴を掘ったな。

 設定がたまに壊れちゃうんです。うちのアンナちゃん。


「いや……これは違くて。ミーシャちゃんに話を聞いてたから……」

 頭がバグッてるぐらい挙動不審だ。

 こんなアンナ初めて見るかも。

「ていうかさ。ミーシャにそっくりじゃん! 双子? 隠し子? あーし、今度ヴィッキーちゃんに聞いてもいい?」

「ダ、ダメぇ!」

 この時だけは、強く反論する。

 そりゃそうだろうな。


「ふーん……なんかさ。あんたって、胡散臭いんだよ」

 目を細めて、マブダチのグリーンアイズをじっと見つめる。

「く、臭い?」

 意味を履き違えている。

「うん。なんつーのかな……童貞が考えたテンプレの痛い女? ブリブリ女て感じ?」

 酷い!

 だが的を得ている!

 だって、俺の願望が詰まった理想の女性像なんだもん……。

「そ、そんなぁ……」

 半泣き状態のアンナちゃん。

「服もさ、男に媚びつくした甘々ファッションだし、メイクも気に入らないっしょ。てか温泉に来てんのに、ヒールの高いサンダルってバカ丸出しじゃん。清楚系ビッチって感じっしょ」

 どビッチに言われちゃ、おしまいですよ。

「酷い! ここあちゃん!」

 あまりにも辛口過ぎて泣いちゃった。

「あーしってダチ以外には優しくできないから!」

 いや、マブダチが目の前いるでしょ。

「ぐすん……」

「ていうか。マジで偽物ぽいわ……。あんたマジでミーシャのなんなの? ミーシャ、泣かしたら殺すからね?」

 ドスの聞いた声で睨みをきかせる。

 ていうか、本人を泣かせたのは、君だよ?

「うわぁん! ここあちゃん、最低! もうタッくん、いこっ!」

 泣き出したアンナは俺の手を掴むと、ロビーから逃げ去る。

「ちょっ! まだ話は終わってないっしょ!」

 花鶴を無視して、エレベーターに入りこむ。


 なにも出来ずにいた俺は、彼女の身を案じた。

「す、すまない。アンナ……俺のクラスメイトが酷いことを言ってしまって。でも気にするな。アンナのファッションや優しい性格は、誰よりも俺がよくわかっているつもりだ。もう泣くな」

「う、うん……あの子、まだロビーにいるよね? 怖いから、タッくん。アンナの部屋まで一緒に来て……」

「了解した。って、えぇ?」

 部屋に入るのか……。

 間違いはないように心がけよう。

 股間の方は正直になりつつあるが。


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