気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

借りパクは犯罪ですよ

公開日時: 2022年1月6日(木) 14:06
文字数:1,634

 俺とミハイルは朝食を済ますと、自宅を出た。

 二人して、真島商店街を歩く。

 平日の朝ということもあって、商店街はまだ人の出入りが少ない。


 隣りを歩くミハイルは、未だ三ツ橋高校の体操服にブルマ姿のままだ。

 恥ずかしくないのだろうか?

 平然とした顔で、俺に言う。

「ネコカフェ、楽しみだな☆」

 いや、その格好で歩くの勇気いりません?

 僕だったら死にたくなります……。


「じゃあとりあえず、席内に行ってミハイルん家に寄ろう」

「え、なんで?」

「その格好のままじゃ、問題だろう……借り物とはいえ女子の体操服だからな」

「別によくね?」

 ダメだよ、普通に。

 この人、女装のしすぎで頭おかしくなってねーか?

「ダメだよ。ちゃんと洗濯して今度のスクーリングで返さないといけないし……それに、そのなんだ。俺も目のやり場に困る」

 白くて細い太ももに食い込むブルマが、童貞の俺にはどうしても冷静ではいられなくなってしまう。

 認めよう、ミハイルの魅力に……。

「ふーん。なんでか分かんないけど、タクトがこの服、嫌ならもう二度と着ないよ?」

 意味を理解できていないようだ。

 首をかしげて、俺の顔を下からのぞき込む。

 くっ! このあどけない態度が、憎めない。

「それは断じて違う! 嫌いじゃない!」

 むしろアンナモードでも着てください! お願いします!

「じゃあ好きなの?」

「んん……返答に困る」

「変なタクト~」

 あなたもやってること、十分変態なんだけどね。



 頬が熱くなる。恥ずかしくなって、目をそらす。

 俺の気持ちを知ってか知らずか、当の本人は頭の後ろに両手をやりながら、鼻歌交じりにてくてくと歩いてる。

 そんなときだった。

 スマホの着信が鳴る。

 見たことのない市外局番だった。

 ミハイルの姉、ヴィクトリアの自宅かと思ったが、あそこは前回、アドレス帳に登録しておいた。

 席内市の番号ではない。

 だが、福岡県の番号だ。


 とりあえず、電話に出る。

「もしもし?」

『おぉ! 新宮か! 今日もカワイイ蘭ちゃん先生だ~』

 酒やけした低い声が受話器から漏れてくる。

 一瞬、いたずら電話の変態おじさんかと思ったが、その正体は一ツ橋高校の宗像先生だった。

「どうしたんすか?」

『あのな、昨日やった運動会でさ。三ツ橋高校の体操服着ただろ?』

 先生にそう言われて、隣りを歩くブルマくんを見つめる。

「そう言えば、そうでしたね。今度のスクーリングで返却すれば、いいっすか?」

『いや、そんなことしなくていい。もらっておけ』

 ファッ!?


「ええ? だって、三ツ橋の生徒の物でしょ? そんなのパクりじゃないっすか!?」

『そんな盗んだみたいなことを言うなよ、新宮』

 受話器の向こうで、ヘラヘラ笑いながら、喋ってやがる。

「どういうことです?」

『あのな、昨日の運動会で、最後に三ツ橋の校長が乗り込んできたろ? あの後、先生がどうにかごまかしてな。変質者たちが三ツ橋の体操服着て、運動場で乱痴気騒ぎしてたってことにしといたんだ♪』

 な、なんて嘘をつきやがったんだ。

 勝手に運動会を主催しとして、俺たち一ツ橋の生徒は変質者扱いかよ。

『体操服は変態に盗まれたってことにしてるからさ。三ツ橋の保護者が激怒してて、買い直すことになったらしいぞ♪ 良かったな♪ タダで体操服ゲットだぜ!』

 やっぱり盗んだんじゃねーか!

「いや、そういうわけには……」

『名前のワッペンを変えれば、問題ないから。じゃあな! ブチッ……』

「ちょ、ちょっと……」

 一方的に電話を切られてしまった。


 ミハイルが俺に屈託のない笑顔で言った。

「タクト? ひょっとして、宗像センセー?」

「うん……」

 背筋が凍る。

 俺は、いや俺たちは犯罪者に仕立てあげられたのか……。

 主な罪状、窃盗と不法侵入、ついでにわいせつ罪もありそう。


「どうしたの? タクト」

「その、体操服もらっていいってよ」

「マジで? タクトが好きなら今度これ着てどっか遊びに行こっか☆」

「え……ああ、とりあえずワッペンだけは変えとけって、言われたよ……」

「オレ、刺繍得意だからまかせろ☆ タクトの分もしといてやるよ!」

「じゃ、頼むわ」

「おう☆」

 

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