気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

先生とデート2

公開日時: 2022年6月20日(月) 14:00
文字数:2,065


 パチンコでボロ儲けした宗像先生は、

「ヒャッハー! 換金してくるわ♪」

 とスキップしながら、店の奥にある謎の建物に直行。


 俺は先生を待っている間、パチンコ屋の駐車場でスマホを確認する。

 通知が酷いことになっていた。

 アンナの怒涛のL●NEが112件も。

 次にひなたから、電話やメールが数件。


 かなり心配しているようだ。

 返事だけでも打っておくかと、スマホのアプリを開き、メッセージを作成しようとした瞬間。

「おい、なにやってんだ? 新宮」

 と背後から声をかけられた。

「あ、いや。宗像先生、ひなたやアンナに連絡を……」

「必要ない!」

 そう言うと、俺のスマホを取り上げ、電源を強制シャットダウン。

「あ……」

「バカモン! これは没収だ。デート中に女性の前でスマホをいじるなんて、最低の行為だぞ? 取材にならないだろ……それこそ、あれだ。付き合っている女性の目の前で、エロ動画見て自家発電するぐらい失礼だ!」

「ええ……」

 初めて聞いたわ、そんな表現。


 俺はスマホを諦め、宗像先生の言う大人のデートとやらを、再開するのであった。

 先生が次に向かった場所は、ドラッグストア『森林もりばやし』だ。

 何か買い物をするのか? と訊ねたが、首を横に振る。

「ま、見ていろ。これが年の功というやつだ」

 入口を抜けてすぐにある、カート置き場で立ち止まる。

 積まれたカゴを一つ一つ持ち上げて中を確認する。

「ちっ、ないな……」

 すると次は、カートを一台ずつ、出しては直してを繰り返す。

「ないな……」

 なにかを一生懸命探しているようだ。


「宗像先生? なにか忘れ物ですか?」

「ああ。ドラ森は500円以上買い物をするとな。福引券が一枚出るんだよ」

「福引券? それがどうしたんですか?」

「たまに要らないって、捨てて行く客がいるんだよ」

 ニヤリと怪しく微笑む。

 乞食じゃねーか。


 カート置き場を諦めた先生は、店内に入っても買い物はせず、また福引券を探し始めた。

「いいか、一番落ちている確率が高いのは、サッカー台だ。買い物終わりの客が商品を詰め終わったあと。捨てて行くんだ。10枚集めないとくじができないからって、諦める奴が多いんだよ。さ、新宮も探せ探せ」

「えぇ……」

 俺と宗像先生はレジ近くで、コソコソと福引券を探す不審者と化してしまう。


 ~10分後~


「新宮、そっちはどうだ? 私は30枚もゲットしたぞ!」

 よくもそんなに拾ったな。

「俺は2枚ぐらいですね……」

 なにやってんだろ、俺。

「そうかぁ、じゃあ、あと8枚でくじが出来るなぁ~ よし、奥の手を使おう! レジの下やサッカー台の下を見てみよう!」

「う、ウソでしょ?」

「バカヤロー! これが大人の生き方ってもんだ。しっかり取材して覚えておけよ!」

 そう言ってかがみ込むと、床の上で四つん這いになり、サッカー台の隙間に手を入れて、探し出す。

 他の客から見たら、ケツをブリッとこちらに向ける痴女だ。

 しかも、宗像先生はローライズのショーパンだから、ちょっと、はみ尻しちゃっている。

「う~ん……おお、あったぞ! 新宮、こっちこっち! お前も速く取れ!」

 もう嫌だ。恥ずかしくて死にそう。


 40枚も集めた宗像先生は満足したらしく、

「くじを楽しむぞ!」

 なんて喜んでいる。


 これって、犯罪なのでは?

 どっかのマンガかアニメで、似たような事をしていたような……。

 あ、アレだ。ジ●ジョのしげちーのスタンドじゃん。


 宗像先生は今日のくじ引きのために、他にもくまなく探しまくったらしく、駐車場や近くの自動販売機の下も這いつくばって、福引券を大量にゲットしたと誇らしげに自慢していた。


「はーっははは! 見ろ、新宮! 100枚だ! ふっ、こんなに集めらるのは、私だけだな」

「でしょうね」

 冷めた目で、アラサーの女を見つめる。

 よく見れば、大半の福引券は、汚れたり、雨で濡れてグニャグニャに歪んでいるもので占めている。

 これ、持って行くのかよ。恥ずかしい。



 店内の奥にあるくじコーナーに向かい、宗像先生は、大量の紙切れをカウンターへと放り投げる。

 若い男性店員が、数えるのに必死だ。

「ひゃ、100枚なので、10回くじを回せます……」

 店員さん、拾っているのに気がついているだろ。めっちゃ、ドン引きじゃん。

「はーっははは! そうかそうか、新宮。今日は先生のおごりだ。お前が回していいぞ。その代わり、商品は全部先生がもらうからな!」

 いらねーよ。

 並べられている商品がそんなに大したもんじゃないもん。

 ティッシュ、トイレットペーパー、シャンプー、タオル、アメとか……。


 俺は抽選器を計10回も連続で回した。

 こんなに回すの、生まれて初めて。

 玉が出る度に、店員がベルを鳴らす。

「一等大当たり~! トイレットペーパーでーす!」

 なにこれ、全然うれしくない。

「……」

 無言の俺に対し、宗像先生はその場でジャンプして大喜び。

 もちろん、バカみたいにデカい乳がブルンブルン震えて。

「しゃあーっ! これでトイレに困らないな!」

 その後も、シャンプーが当たったり。

「よっし! でかした、新宮。これで髪のパサつきが、しばらく無くなるぞ!」

「……」

 なんか一周回って、この人が可哀想に思えてきたのは、俺だけでしょうか?


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