気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

大人のオ・ン・ナ、教えてあげる♪

公開日時: 2022年6月18日(土) 14:00
文字数:1,509


 宗像先生とドライブすること、30分ぐらい。目的地に到着。

「よし、着いたぞ。さ、新宮。これが大人の女性のワンルームマンションだ♪」

「え……ここって」

 見慣れた光景、六角形の大きな武道館、Y字型の建物、駐車場。

 間違いない。

 俺が通っている高校、一ツ橋高校だ。

 いや、正確には、全日制高校の三ツ橋高校の校舎である。


 近くでは、

「はーい!」

 なんて、甲高い女子の掛け声が聞こえてきた。

 夏休みだが、部活動はやっているようで。

 運動場や色んな教室から、様々な声や音が漏れている。



「先生……ここ、うちの高校じゃないですか?」

 車を降りて、学び舎である建物を指差す。

「ああん? なに言ってんだ。私の我が家は一ツ橋高校の事務所だ!」

 白い歯をニカッと見せて、親指を立てる。

「ちょ、ちょっと、何をする気なんですか? 勝手に校舎使ったら怒られますよ」

「バカだな、新宮は。確かに三ツ橋高校の建物を無断で使用したりすれば、怒られるよな。でも、あの事務所だけは違う。我が一ツ橋高校が所有している唯一の場所だ。つまりその管理者、責任者であるこの私、宗像 蘭ちゃんなら、泊まろうがナニしようが、無問題なのだ!」

「……」

 

 その後、宗像先生の話を詳しく聞いてみたら。

 以前は近くの安いアパートに一人暮らししていたが、家賃を滞納しすぎて、追い出されたらしく、現在は事務所を自宅として、利用しているらしい。



 裏口から入り、俺は下駄箱に自分の靴をなおして、上靴に履き替える。

 先生は一足先に二階の事務所へと上がっていた。


 俺が下駄箱から階段を登ろうとすると、制服を着た男女数人と遭遇。

「おつかれさまでーす!」

 なんて労いの言葉を頂いた。

「ちっす」

 と軽く会釈して、事務所へと逃げ込む。


 だってもうスクリーングはないし、通信制の一ツ橋高校は終業しているからだ。

 本来なら、この校舎に来るのは、校則違反だと思う。


 久しぶりの事務所だが、相変わらずの殺風景で、全てがボロい。

 デスクやソファー、食器棚。

 貧乏なのが丸分かりだ。


 宗像先生は奥にあった小さな冷蔵庫から、ハイボール缶を二つ持って来て、応接室であるソファーにダイブする。

 二人がけの方だ。


 寝転がってグビグビ飲みだす。

「プヘ~ッ! うめぇなぁ。生徒から搾り取った金で飲む酒はよぉ~」

 最低な人間だ、こいつ。

 俺は宗像先生とは、反対方向の1人がけのソファーに腰を下ろす。

「先生……ところで、こんな環境なのに、よくあんな高級車を乗り回してますね。だって家賃払えないから、事務所で暮らしているんでしょ?」

 そう尋ねると下品な笑い方でこう答える。

「はーっははは! 私がベンツなんて買えるわけないだろ! あれは借りもんだよ」

「ん? 借りもの?」

 嫌な予感がしてきた。

「そうだよ? 三ツ橋高校の校長さ。金持ちなんだよ。あのオヤジ……ムカつくよな?」

「いや、それとこれと、どういう関係が?」

「あのおっさんがさ、自宅に何台も高級車持っててさ。多すぎてたまに高校の駐車場に置いておくわけ。その時にちょっとな♪」

 ちょっとってなんだよ。

「つまり?」

「スペアキー作って置いたんだよ。このこと、内緒だぞ~ 新宮!」

 誰にも言えるか!


 宗像先生が三本のハイボールを飲み終えた頃。

「さ、そろそろ……大人の魅力ってやつを取材に行くか! 新宮!」

「どこに行く気ですか?」

「そうだな。まずは、大人のデートを知りたいだろ? なら、パッチンコだ!」

「……」

 こいつ、そういうことかよ。なんとなく察してきた。

「もちろん、デートなんだから、経費で落としてくれよな♪」

 なんてウインクして、誤魔化そうとしていやがる。


 宗像先生は、アンナやひなたのようにデートを楽しむわけではなく、経費でタダになるからと、俺を利用したに過ぎない。

 クソがっ!


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