気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

プリクラは男子禁制

公開日時: 2021年7月12日(月) 17:22
更新日時: 2022年4月25日(月) 13:49
文字数:3,090


 アンナが痴漢? された罪滅ぼしとして、俺はプリクラを一緒に撮ることにした。

 思えば、プリクラなんざ、人生で一度も撮ったことなかったな。


 スクリーンからまた長い長いエスカレーターに乗る。

「ところでアンナ、あのおっさん、アンナをずっと見ていたのか?」

 彼女はうつむきながら答える。

「うん……チケット売り場の時からずっと見てたみたい……」

「すまない、俺がもっと早くに気がつけば」

 拳を強く握るが、アンナの柔らかい手によってほぐされる。

「タクトくんは悪くないよ……私も早くにタクトくんに伝えておけば、私の身体も触られなかったのに」

 どうやら、あの変態親父に触れた場所は、左の太ももらしい。

 アンナが悔やんだ顔でももに触れている。


「上映中、ずっと触られていたのか?」

 俺、すごく怒ってるわ。

「ううん、途中から……何回も手をどかしたのに、何度もしつこかった」

 クソッ! 俺が触りたかった!


「アンナ、もう二度とお前をそんな目にあわせないと誓うぞ」

「ありがとう!」

 アンナの顔に笑みが戻る。


 エスカレーターから左手に入れば、すぐにゲームセンターとプリクラ専用のブースが見える。

 カナルシティは、学生やカップル、外国の方々も御用達の場所なので、プリクラがよく儲かるらしい。

 しかも、コスプレが無料で貸し出し可能だ。


「しかし、俺はこういうのは全然わからん」

「タクトくんって、プリクラ撮ったことないの?」

 上目遣いでのぞくアンナ。

 やめてぇ、そんな顔で見られると、撮れなくなっちゃよぉ~

 股間が『がんばれ元気』になっちゃうよぉ~


「ないけど?」

 アンナが、エメラルドグリーンの目をまるくする。

 その瞳は妖精のようだ。

「ホントに!?」

「そうだが」

「やったぁ! アンナが、タクトと生まれて、はじめてのプリクラを撮るんだね☆」

 だね☆ じゃねぇ!

 なんか、俺がかわいそうなぼっち人間ってのが、まるわかりじゃねーか!


「ま、まあ、そうなるよな」

 苦笑いが辛い。

「ふふ☆ うれしいなぁ」

 今日は笑いながら、床を見つめるんですね。

 なんか人の不幸を、めっさ喜んでいるように感じるんですが?


「プリクラの機械は、全身が取れたほうがいいよね?」

「全身? なぜだ?」

 俺の問いに頬を膨らますアンナ。

「だって、二人のはじめてのプリクラだよ? アンナだって、タクトくんの全部撮りたいもん!」

 それプリクラ必要か? スマホで俺を撮っちまえばいいんじゃね?

「了解した。ならば、俺はこの界隈は詳しくない……ので、アンナに任せていいか?」

「うん☆」

 アンナは優しく微笑むと、20台近くはあるプリクラ機を、念入りに一台一台チェックしていった。


 これは盛りすぎ、あれは全身が映らない、それはフレームが少ない……だのと文句ばかり垂れて、一向に決まることがない。


 エンドレス!

 そういえば、妹のかなでも、男の娘か女体化の同人誌を買う時はいつも迷っていたな……。

 俺からすれば、どちらも同じなのだが、女という生き物は、選択肢を用意されると迷う生き物なのだろう。

 っておい! アンナはミハイル。ミハイルはアンナ!

 男じゃい!


「あ、あれが一番いいかも☆」

 アンナが選んだのは、いわゆる『盛り』要素が少ないナチュラルな写真が撮れて、全身も撮影できる一機だ。

 尚且つ、スタンプやフレームも豊富。

 なぜ、こやつはこんなものに詳しいのだ?


 だが、プリクラ機の前にはカップルで長蛇の列。

「こんなに人気なのか? プリクラってのは!」

「そうだよ~ カップルさんだけじゃなくて、女子高生とか男の子同士でも撮るからね☆」

「男同士でも!?」

「うん☆ 部活帰りの子たちがよく撮っているよ」

 それって……なんの部活? 相撲部? 空手部? 柔道部? 

 裸体で『あぁぁぁ!』とか、事後のプリクラじゃない?


「そうか……そんなに楽しいものなのか、プリクラってのは」

「一人で撮るのは楽しくないけど、お友達とか家族と撮ると楽しいよ☆」

 おい! 俺はお友達もいなかったし、家族なんてプリクラなんざ興味ねーから!


 ふと、プリクラのブースを見渡すと『こちらは男性のみの撮影は禁止させて頂いております』とある。

 ん? 俺とアンナは男同士じゃね?


「なあ、アンナ。男同士でも撮るっていったよな?」

「ん? いったよ」

「なのに、あの『制限』はなんだ?」

 注意書きを指さすと、アンナが汗を吹き出す。

 

「あ、えっとねぇ……あれはね、痴漢とか盗撮を防止するためだよ☆」

 歯切れが悪い。

「そうか。ならば、男同士で撮るのは限られる……ということか?」

「ん~ アンナは詳しくないな~」

 話をそらすな! 絶対に確信犯だろ!


「つ、次、アンナたちの番だよ!」

 腕をつかまれ、強引にプリクラのなかに入った。

 中は思ったよりも、広々としている。

 後部には長いすがあり、座ったシーンも撮れる仕様らしい。


「じゃあ、最初はバストアップ撮ろ☆」

 バストってひびきがエロい、と感じたのは俺だけでしょうか?

「ああ」

 アンナはカメラに映し出された自分の顔を、鏡がわりに前髪を整える。

 なんかまんま女の子の仕草だよな。ミハイルのときは気にしてないのに。

 

『じゃあ、一枚目! いっくよぉ~』


 某豪華声優が可愛らしいボイスで採用されていて、声豚な俺からしたらツボだった。


「タクトくん、もっと寄ってよ」

 アンナが俺の左腕に抱きつく。

 肘が彼女の胸にあたる。

 な、なんだ! 絶壁なのに微かだがふくらみを感じる。

 これが俗にいう『ひじパイ』なるものか!?

 

「そ、そんなに引っ張るなよ……」

「もう照れないで! はい笑って」

 アンナはニッコリ、俺は引きつった笑顔。


「タクトくんの下手くそ!」

「仕方ないだろ、生まれてはじめてなんだから」

「そうだった……ごめん」

 謝らないでぇ! 俺がどんどん可哀そうなやつになってるから!


「じゃ、じゃあ次は全身ね☆」

「仕切り直しだな」

 俺とアンナは少しうしろに下がると、笑顔をつくる。

 アンナは俺の肩に顔をのせた。

 なにこの子? ビッチなの? 


「はいチーズ!」

「ち、チーズ……」

 今回もやはり俺の顔は引きつってしまった。

 アンナは案の定プンスカ怒っていたが、原因は彼女の積極的行動だと思うが。


「じゃあラストはこのイスに座って撮ろう☆」

「座ればいいんだな」

 なんか介護されているみたい。俺もいうほどバカじゃないのよ?


 二人して長いすに尻と尻を、くっつけて座る。


「タクトくん……映画館のとき、おじさんに触られて辛かったよ」

「わ、悪い」

「アンナよごれちゃった?」

「お前は汚れてなんかない。もし汚れたのならば、洗えばいい。例えばこうやって……」

 どさくさに紛れて、俺は彼女の太ももに優しく手をのせた。

 とても柔らかい……そういえば、こいつの太もも触るのって、2回目じゃん。

 ミハイルの時に自宅の風呂場で。


「嬉しい……タクトくんの手で、キレイになっていくよ☆」

 うっとりと俺を見つめるアンナ。

 俺もついつい彼女に見とれてしまった。

 互いに見つめあった状態で、『はいチーズ!』とフラッシュがまぶしく光る。

 それがなかったら、俺たちはそのままキスしていたかもしれない……。


 慌てて、互いに顔をそらす。


「じゃ、じゃあ、次はプリクラをデコろうよ☆」

「そ、そうだな」

 まるでラブホから出てくる事後のカップルのように、俺たちはそそくさとプリクラ機から出て行った。


 あとは、ほぼアンナが撮影した写真を決めて、スタンプやら日付をつけていく。

 俺は「なるほどな」と感心しながら、その姿を見つめていた。

 アンナに「タクトくんもする?」と聞かれたので、「タケちゃんスタンプはあるか」と問うと苦笑いされた。


 あっという間に、撮影と印刷が完了。

 仕上がったプリクラを、二つにわけると片方を俺がもらった。

 アンナはそれを見て嬉しそうに微笑む。


 これってどこに貼ればいいの? テーブル?


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