気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

第二十三章 第二次テスト大戦

愛の結晶

公開日時: 2022年1月12日(水) 21:06
文字数:2,295


 俺はかくして18歳を無事に迎えることができた。

 ていうか、ミハイルとアンナに祝ってもらえてウルトラハッピー! な年だったぜ。

 ちょっと今までの人生があまりにも孤独だったせいか、彼と彼女からもらったプレゼントを毎日眺めては、涙を流していた……。

 アンナの作ってくれたパジャマを着て、胸ポケットにミハイルがくれた万年筆を入れ、執筆活動に勤しむ。

 書ける書ける! スラスラと映像が文字に変換されていく。

 ラブパワーだな。

 

 

 ある日、博多社の担当編集、白金 日葵から電話がかかってきた。

 電話に出ると、いつもふざけているロリババアがかなり慌てている。


『あ、DOセンセイ! 大変です!』

「どうした? お前の合法ロリ風俗店就職が決まったのか?」

『んなわけいでしょ!』

 されたらいいのに。今よりだいぶ稼げるんじゃない。

「なんだよ。ちょうど筆がイイ感じで進んでいたのに……」

『ホントですか!? ならちょうどいいです!』

「なにがだよ?」

『今月号の‟ゲゲゲマガジン”で発表したセンセイの拙作‟気にヤン”が大反響で、発刊以来の重版決定となりました!』

 拙作て自分で言うもんじゃないの……。

「重版?」

 耳を疑う。

 白金がとうとう頭がイカれちまったんだろって思った。


『なので、長編書いてください! 単行本発売決定で、すぐに8万文字必要です! 期限は2週間! では、おなーしゃす! ブチッ……』

「ちょ、ちょっと……」

 一方的に切られてしまった。

 それにしても、俺の作品が久しぶりに単行本化するのか。

 書いたのがラブコメってのが、ちょっと癪だけど、まあ悪くない。

 よし、書こう。

 今の俺なら来週までに8万文字なんて、訳ないぜ。


 なぜなら、アンナのパジャマとミハイルの万年筆があるからなっ!

 タイピングしていく指の速さがグンと上がる。

 その時だった。

 自室の扉がバタンと、大きな音を立てて開く。


 妹のかなでだ。

「ただいまですわっ!」

「おう、おかえり……」

 俺は振り返りもせず、机の上でパソコンとにらめっこ。

 自身に追い込みをかけているからだ。

「おにーさまったら、顔も見てくれないなんて……てか、そのパジャマ……ダセッですわ」

「……」

 この時、俺は思った。かなで、いつかぶっ殺す。



 ~2週間後~


 連日連夜、原稿に終われていた。

 ちょくちょく白金とオンラインで打ち合わせ重ね、構成を見直したり、キャラをもっと深堀したりとまあ、作家らしい仕事をこなす。

 その間、新聞配達も朝と夕方にやるから、仮眠を取る暇があまりない。

 徹夜の日々であっという間に、原稿の期日になる。

 もちろん、この天才作家のことだ。ちゃんと間に合わせたさ。

 ネットで原稿を白金に送り、あとは全部出版社に丸投げ。

 


 ふとカレンダーに目をやる。

「あ、今日はスクリーングだったか……」

 原稿のことばかりで、すっかり忘れていた。

 一ツ橋高校の二回目の期末試験。

 寝不足だが、あんな幼稚なテスト余裕だな。

 あくびをかきながら、リュックサックを持って家を出た。



 小倉行きの電車に乗り、車内のロングシートに腰を下ろすと、すぐに夢の中に入る。

 しばらくすると、どこかの駅に止まった。

 振動で目を開く。すると、ミハイルが隣りに座っていた。

「ミハイル……」

 ゆっくり身体を起そうとするが、白い手が俺の瞼を覆う。

「タクト、疲れてんでしょ? オレが起すから寝てて☆」

 耳元でそう囁く。

 その声はとても優しく、俺の疲れも吹っ飛んじまうぐらい愛らしい。

「た、頼む…」

「いいよ☆」



   ※


 スマホの振動で目が覚める。

 気がつくと、俺は身体を横にしていた。

 枕にしてはやけに柔らかい。

 なんだろうと思い、顔を下にずらす。

 すると、ぷにぷにと何かが唇に当たる。

「キャッ!」

 ミハイルの声?

 ということは、これは……。

 太ももだ!


 クンクン、思わず香りを堪能してしまう。

 だって、こいつが悪いんだ。

 毎回ショーパンなんて履いてやがるから、細くて白い太ももが露わになっちまうだろ。誰でも匂ったり、その感触を確かめたりしたいのが、人間!

 自身の唇で太ももの柔らかさを確認しつつ、鼻で石鹸の甘い香りを楽しむ。


 徹夜した甲斐があったてもんだ。

 癒されるぅ~


「ちょっ……タクト! なにふざけてんの! もう赤井駅だよ!」


 自分で膝枕させておいて、頭を叩いてきた。

 まったく困ったツンデレのダチだな。


「すまん。ここ連日徹夜していててな……寝入ってしまったようだ」

 しれっと言い訳をしておく。

「そっか……タクトも試験勉強?」

 話しながら、車内から出てホームに降りる。


 赤井駅を出ても、話は続く。


「俺は、試験勉強じゃなくて執筆の方だ」

「え、新作を書いてんの?」

「以前にアンナを……モデルにしたラブコメの短編があってな。それが人気らしくて、いきなり単行本化だそうだ」

 クソがっ! なんで俺が書いた処女作『ヤクザの華』は売れないんだよ!

 俺の思惑とは裏腹に、ミハイルは瞳をキラキラと輝かせる。

「スゴイじゃん! おめでとう、タクト☆」

 ニカッと白い歯を見せて、微笑む。

「う、うむ……。今回の作品に関しては、ミハイルにその、感謝してる」

「オレに?」

「ああ。アンナという取材対象を紹介してくれてな」

 一応、礼はしておく。

 って、目の前にいるやつなんだけど。


「そ、そんな……まだ本も発売されてないのに。気が早いよ……」

 言いながら、顔を赤くしてモジモジしだす。

「でも、オレからアンナにちゃんと伝えておくよ」

 伝えるもなにも、今面と向かって俺があなたに言ったじゃない。

 なにこの、面倒くさいやりとり?



 一ツ橋高校に着くまで、ミハイルは終始、頬を赤くしていた。

 どうやら自分のように喜んでくれているらしい。

 ま、そりゃそうだよな。

 小説ていうか、ただの日記みたいなもんだ。

 言わば、合作だ。

 俺とミハイル、アンナの……。



 










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