気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

大人の境界線は身体の成長で……

公開日時: 2022年1月8日(土) 13:00
文字数:1,679


「誰だ、お前」

「え?」

「ここは子供の来るところじゃない。早く小学校に帰りなさい」

 と俺は優しさから、少女を外へと追い出そうと背中を押す。

「ちょ、ちょっと待って!」

「うるさい、ママに言いつけますよ」

「イ、イヤー!」

 俺と少女が自動ドアの前で来ると、受付のお姉さんが立ち上がった。


「あ、あの! そのちっこい人が白金です!」

「え……このガキが?」

 俺は足元にいる未知の生命体を指さす。

「ガキとは失礼ですね! これでも私は成人した立派なレディーですよ♪」

 そういって、自称成人ロリッ娘はウインクしてみる。

 低身長で一三〇センチもないだろう。俺はこんな成人女性をこの世で見たことがない。


「お前が俺より年上だと言いたいのか?」

「ええ、そうですよ。新宮 琢人くん」

 えっへんと偉そうに両腕を組む。


「じゃあ証拠を見せろ」

「え? 証拠?」

「そうだ、成人しているんだろ? もう第二次性徴は終えたのだろう? なら俺に見せてみろ」

 俺がそう吐き捨てると白金は顔を赤らめて、自身の胸を両手で隠す。

「な、なにを言うんですか!? 女の子におっぱいを見せろなんて! あなたは変態さんですか!?」

「そんなことは自覚している。だが、お前の胸は貧乳とも呼べない。俺が見たい『大人の証拠』とは俗にいうおっぱいではない」

「じゃ、じゃあなんですか?」

 白金が息を呑む。


「そんなもの決まっているだろうが。お前の股間。草原を見せろ」

「なっ!」

 ボンッと音を立てて、顔が赤くなる。

「ほらどうした? 成人女性なら草が生えているのだろ? ちなみに俺は小学四年生の時、既にフサフサだったぞ?」

 俺は自慢げに自身の股間を押し出した。


「そんなもの見せられるわけないでしょ! バカ!」

「ほう……ならやはり俺はお前をただのクソガキと認識するぞ」

 白金は「ぐぬぬ」と悔しげそうにこっちを睨んでいる。

「み、見せればいいのね……」

「フン、だろうな」

「じゃあ……しかと見なさい!」

 そう言って、彼女はワンピースの裾を豪快にたくし上げた。

 俺の瞳に映るのは今時、小学生も履かないようなクマさんパンツ。

 それを見た俺は鼻で笑う。


「やはりガキだな」

「本番はこれからよ。み、見てなさい!」

 涙目でパンツに手を掛けようとしたその時だった。


「ストーップ!」


 受付のお姉さんがデスクから飛び出し、俺と白金の間に入った。


「白金さん! あなたバカでしょ!?」

「だ、だって……この子が私のこと……」

「だってもクソもありません! 子供相手にむきになって……あなた大人でしょ?」


 まるでダダをこねる子供を、お母さんが説教しているように見える。

 ちなみに、白金の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。きったね。


「あ、あなた……私の裸が目的だったの!?」

「お前の裸なんぞに興味などない。俺は物事を白黒ハッキリさせないと気が済まない性分でな。だから、お前みたいなわけのわからん生物は正直言って……キモい」

「う……うわ~ん!!!」

 泣いたぞ、これ。やっぱどう見てもガキだろ。


「ちょ、ちょっと、白金さん! 泣かないでよ、もう……」

 受付のお姉さんは泣きわめく迷子を慰めるように、白金の頭をさすっている。

 なにこれ、なんの喜劇?


「おい、俺はこんなバカに呼び出されたのか? 十代の貴重な青春時間だぞ? もう帰っていいか?」

 そういって踵を返すと、小さな手が俺を止める。

「そ、そうはいかないんだからね、えっぐ……」

「たまごならスーパーで買え。俺の近所のスーパー『ニコニコデイ』がおすすめだ」

「そんなの、いらんもん! 私は仕事のお話がしたいの!」

「ほう、この天才の俺とクソガキが仕事の話ねぇ」

 俺が笑みを浮かべると、白金は「バカー!」と言ってポカポカと殴りかかってきた。


「受付のお姉さん、らちがあきませんよ。俺、もう帰っていいですか?」

「あ、いや、ちょっと待ってね……コイツを大人しくさせるから……」

 受付のお姉さんですら、『コイツ』呼ばわりか……。


 しばらく待つこと数十分。

 お姉さんにアメとムチで説教された白金は、瞼を大きく腫らせて戻ってきた。


「あ、あの、こちらから呼び出したのに……取り乱して申し訳ございませんでした」

「さすが、大人様だな。気持ちのいい謝罪だ」

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