気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

びしょ濡れJK

公開日時: 2022年6月8日(水) 14:00
文字数:1,649


 二階の階段を出てすぐ目の前に、大きなプールがあった。

 イルカショーはまだ始まってないが、何匹かのイルカやクジラが泳いでスタッフと練習している。


 博多湾をバックに円形のプールが設置されている。

 強い潮風がぴゅーぴゅーと顔に吹きつけられるが、これはこれで気持ちが良いものだ。

 プールを囲うようたくさんの座席が並ぶ。

 三階には売店もあった。


 俺とひなたは、一番前から少し後ろの席に座った。

 彼女曰く、前に行くほどショーを楽しめるが、イルカたちが目の前で泳ぐため、ジャンプした際、水しぶきが客席にかかるらしい。

 だから、ちょっと離れたぐらいが、ベストポジションらしい。


 ひなたは気をきかせて、売店でチュロスを買って来てくれた。

「はい。半分こしましょ♪」

「お、おう……」

 パキッと割って、二本にする。


 それをもしゃもしゃ食べていると、一番前のステージに女性スタッフがマイクを持って現れた。


「マリンワールドにお越しの皆さん~! 今日はイルカちゃんとクジラちゃん達のショーを楽しんでいってあげてくださいね~!」


「きゃあ~! 見てください、センパイ! イルカちゃんが出て来たぁ!」

 ひなたはかなり興奮しているようで、チュロス片手に前のめりになる。

 ミニスカートだから、シマシマパンツが丸見え。

「お、おい。ひなた、ちょっと落ち着け」

「ええ、イルカちゃん可愛いじゃないですか?」

 頬を膨らませるひなた。

「まあ、気持ち分からんでもないがな……ちょっと無防備すぎやせんか?」

 腰のあたりを指差すと。

「あ! センパイ。また勝手に見たんでしょ? エッチ!」

 そう言って、俺の手のひらをぎゅーっとつまむ。

「いってぇ!」

「フン!」

 全く、忙しいやっちゃ。



 ショーが始まり出す。

 軽快な音楽と共に、イルカが三匹、天井にぶら下がっている小さなボールへと飛び跳ねる。

 その後、巨大なクジラも豪快にジャンプ。

 イルカの時とは、段違いの迫力で、水しぶきが俺たちの足もとまで、飛び跳ねてくるほどだ。

「きゃっ、冷たい~!」

 言いながらも、ひなたは嬉しそうだ。


 そして、音楽は変わり、重低音の荒々しいロックミュージックへと変曲。


 司会の女性スタッフがマイクで注意を促す。


「ただいまから、クジラちゃんが激しいジャンプをしますので、一番前にいる人は、注意してくださいねぇ~ 5回連続でボール目掛けて、大ジャンプをします。見事、届いたら大きな拍手をお願いします~!」


「きゃあ~ クジラちゃん頑張ってぇ~」

 ひなたはスマホで撮影タイムに入っている。

 俺と言えば、懐かしいなぁなんて子供の頃を思い出しながら、見ていた。


 ショーもクライマックスに近くなり、クジラが観客席のギリギリまで近づき、飛び跳ねる。

 水しぶきが何人かの観客やスタッフに、ばしゃーんとかかり、悲鳴があがる。


 クジラは最後に俺たちの前を通り過ぎようする……その瞬間だった。

「ちょ、ちょっ……きゃああ!」

 甲高い女の悲鳴があがった。


 気がついた瞬間、隣りにいたはずのひなたは、一番前のコンクリートに転げ落ちていた。

 驚いて固まっているひなた。

 腰から床にストンと落ちたため、股は広げたまま、パンツは丸見え。

 直後、クジラが彼女の頭上を飛び跳ねた。

 びしゃーんと、大きな波が襲う。


 残ったのは、びしょ濡れのひなたが一人だけ。


「な、なによ! これぇ~!」


 一瞬だった。俺はわけもわからず、固まっていた。

 司会の女性スタッフが、

「お怪我はありませんか? ショーを中断します!」

 とスピーカーから大声を出したことで、ざわつく会場。

 

 俺はやっとのことで、我に返る。

 すぐさま、彼女の元へと駆けつけた。


「大丈夫か、ひなた?」

「ひっぐ……セン~パイ! 誰かに押されたぁ~」

「押された?」

「酷いよ~!」

 俺の胸に顔を埋めるひなた。

 とりあえず、俺は彼女の背中を優しくトントンと触れてみる。

 背中までずぶ濡れだ。


 そして、何人ものスタッフが駆け付け、ひなたの安否を確かめていると。

 一つの人影が、会場から去っていくのを俺は見逃さなかった。


「チッ……」


 先ほどのハンチング女だ。


 一体、このマリンワールドでなにが起きているんだ?


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