気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

先生と温泉

公開日時: 2022年6月23日(木) 14:00
文字数:1,471


 宗像先生の裏の顔を知った俺は、動揺を隠せずにいた。

 店内に戻って、その本人を見つめる。

 カウンターに涎を垂らして寝ているこのアホが、そんな優しい教師だったなんて……。



 しばらく待っても宗像先生は、起きることが出来なかったので、店の大将が車で送ってくれるという。

 俺はさすがに悪いと断ろうとしたが、彼は笑顔で「いつものことだから」と手慣れた感じで、先生を抱え店裏の駐車場まで案内してくれた。

 いびきをかいている宗像先生を、後部座席に寝かせて、俺は助手席に乗せられた。

 大将の母校でもある一ツ橋高校へと車を飛ばす。


「いやあ、今日の宗像先生。かなり嬉しそうだったよ」

「え、そうですか?」

「うん。きっと君が一緒にいたからじゃない? 幸せそうな顔をしてたよ」

 あれのどこが?

 ただ、ハイボールをがぶがぶ飲んで、文句垂れてただけじゃん。



 大将は、高校の駐車場に車を停めると、先生をまた抱きかかえ、わざわざ二階にある事務所まで連れて行く。

 二人がけのソファーに先生を寝かせて「じゃ」と去っていった。


「ふごごご! クソが……パチンコ勝てねぇじゃねーか……」


 腹をかいて寝言を言っている。

 こんなバカが……ね。

 人は見かけによらないもんだな。


   ※


 一時間後、先生はなにを思ったのか、いきなりソファーから飛びあがる。

「ハッ!? また記憶飛んでる!?」

 反対側のソファーに座っていた俺はその姿を見て、ため息をつく。

「焼き鳥の大将がわざわざ送ってくれましたよ……」

「ほう。ところで、領収書もらっておいたか?」

「え、まあレシートなら……」

「でかした! あとで今日使ったやつ、全部お前に渡すから、白金に経費として落としてもらえよな♪」

 ただギャンブルと酒に使っただけじゃねーか!

 どこが取材で、どこが大人のデートなんだよ!

 なんの勉強にもならんかったわ。


 

「ところで新宮。お前、風呂に入りたくないか?」

「え? どこで入る気ですか……まさか、三ツ橋の部室のシャワールームを勝手に使う気ですか?」

 もうこの人の思考、読めてきたよ。いい加減。

「失礼な言い方をするな! こんな暑い夜だ。もっとお洒落な大浴場に行こう♪」

「だ、大浴場?」

「うむ。私に任せろ。さ、着いて来い!」

 嫌な予感マックスだが、とりあえず、黙ってついていく。


 誰もいない静かで真っ暗な校舎を二人して歩く。

 先生が言うには、以前ミハイル達と一泊した食堂の近くに浴場はあるらしい。

 階段を降りて、校舎を出て目の前に食堂はあった。

 そのすぐ裏に二階建ての大きな建物が見える。


 近寄って正面から見てみると、大きな看板が目に入った。

『三ツ橋アリーナ』

 

「なんですか、ここ?」

「ああ、通信制ではあまり使ってないから、わからないよな。ここは普段、水泳部が利用しているプールだ! 夏には持って来いの大浴場だろ!」

 んなことだと思ってたよ……。


 俺と先生は、階段を昇って、二階の入口からプールへと向かった。

 途中、男女別々の更衣室へと別れる。

 あ、水着とか持ってないけど、どうするんだろ?

 まさか、裸で入る気か!?

 

 と思っていたら、宗像先生が勝手に男子の更衣室へとずかずか入り込む。

「ちょ、ちょっと! こっちは男子の方でしょうが!」

「ああん? お前のイカ臭い股間なんて興味ないわ! それより、これ使え」

 そう言って差し出したのは、一枚の競泳水着。いわゆる、海パンてやつだ。

「いいんですか? 人のでしょ?」

「大丈夫だ。忘れていった奴が悪い。どうせ、あとでショタコン向けにネットオークションで出品しようと思っていたモンだから」

 この人、本当に生徒想いの良い先生なんですよね?

 さっきの話を聞いても、同じ人に見えないのだけど……。


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