気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

勝利を確信したリキ

公開日時: 2022年8月9日(火) 14:00
文字数:1,422


 その後、ばーちゃんはアンナに振袖を持ってくると。

「赤色なんだけど好きかしら?」

 なんて彼女の身体に当ててみる。

「あ、好きです! 大好きです!」

「そうなのぉ。じゃあ、これ。アンナちゃんにあげるわ。タッちゃんのお母さん、琴音にはもう会ったかしら? あの子が成人式で着たものなのよぉ~ 私も若い時に着たけどねぇ」

 聞けば、かなりの年代ものだ。

 というか、血こそ繋がってないとはいえ、孫娘のかなでにやらなくていいのか?

「え、タッくんのお母さまが着られたものなんですか? それをアンナに……」

 頬を赤くして、モジモジし出す。

「もちろんよぉ。アンナちゃんはもう、私の孫と同じ! いつでも中洲に遊びにおいでね! この店の浴衣でも振袖でもなんでも着せてあげるわ!」

「そ、そんなぁ……悪いです」

 だが、決して嫌そうな顔ではない。

 むしろニヤニヤが止まらないように見える。


   ※


 リキが目を覚ましたところで、俺たちは中洲から帰るとばーちゃんに告げる。

 それを聞いたばーちゃんが

「振袖は重たいから、あとでアンナちゃんの自宅に送るわね」

 と彼女に住所を聞く始末。

 アンナもちゃっかり教えちゃう。もちろん、席内市の古賀家だが。



 ばーちゃんの前では、緊張しっぱなしだったが。

 店から出るといつものアンナに戻る。

「タッくんのおばあちゃんから、振袖もらっちゃった☆ いつ着ようかな? あ、来年のお正月に二人で初詣に行こうよ☆ タッくんは毎年、初詣とか行かないもんね。しっかり取材しておかないと☆」

 あの、勝手に決めつけないでくれますか?

 初詣ぐらい行ったことあるわ! あ、でも何年も行っていないような……。

 アンナは随分浮かれているようだ。

 三人で地下鉄に乗り込み、電車の中で今回の取材を振り返る。


 リキの方も手ごたえを感じていたようで、かなり興奮気味だ。

「見ろよ! タクオ! ほのかちゃんから返事いっぱい届いたぜ!」

 そう言ってスマホの画面を見せてくれた。

「ほう。どれどれ……」

 二人のL●NEのやり取りを確認してみると。


『ほのかちゃん、中洲の映画館でたくさんのおじさんと仲良くなれたぜ! 50人も!』

『え!? ホント!? あの伝説の社交場に行ったの? しかも50人と仲良しに!?』

 かなり誤解されているようだが、まあ興味を持っているので良しとしよう。

『ネコ好きなおじさんと超仲良くなれたよ。L●NEも交換したから、これからも色々と教わろうと思うわ!』

『プギャー! 文章だけじゃ情報量足りない! 千鳥くん。来週、直接会ってお話聞かせて! は、鼻血が出てきた……』


「……」

 結果的に釣れちゃったよ。

「なっ! これって取材の効果だよな!? デートの誘いだろ、これって!」

「ま、まあデートちゃデートかもな……」

 それを聞いたリキは、感動のあまり泣き出す。

「うぐっ……マジでサンキューな。タクオ、アンナちゃん。二人のおかげだよ…」

 あなた本人の努力だと思います。

 だが、無慈悲なアンナは更に追い打ちをかける。

「気にしないで、リキくん。これで第一歩だね☆ でも、これで満足しちゃダメだよ。まだ、ほのかちゃんに興味を持ってもらえただけ。だからデートのあと、またおじさん達としっかり仲良くならないと☆」

 なんて優しく微笑む。

 悪魔に見えてきたよ、この人。

「アンナちゃん! これからもいっぱいアドバイスしてくれ!」

 真に受けるなよ。

「うん☆ たくさん相談してね☆」  

「……」

 もう俺のダチはどこか遠くへと旅立ってしまうようだ……。 

 でも、難攻不落の腐女子とデートするきっかけは、できたから良かったのか?

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