気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

第二十五章 まだまだ終わらない高校

終業式

公開日時: 2022年2月7日(月) 16:11
文字数:3,026




 アンナとの、初めてのプールデートは無事に終了した。

 とても楽しかったです……なぜならば、可愛いアンナちゃんのビキニ姿を3000枚ほど、保存できましたので。

 毎晩、自室で1人、パソコンで写真を各フォルダに分別する。


『使えそう』

『可愛い』

『ブレてるが消したくない』


 そんな風に名前をつけて、しっかり番号を振り分けていく。

 ああ、この作業たまらなく楽しいぜ。

 早く次のプール取材、来ないかな。



 連日、徹夜でそんなことを繰り返していると、すぐに一週間が経った。


   ※


 スマホのベルで目が覚めた。

 着信名を見ると、ミハイル。


「ふぁ……もしもし」

『タクト? おはよ☆』

「ああ、おはよう。今何時だ?」

『え、朝の4時半☆』

 朝じゃねーだろ。夜明けだ。

「んで、何の用だ?」

『今日さ、終業式じゃん』

「そうだったな。明日から夏休みってわけだ」

 やっとバカな高校から解放される至福の時。


『それでさ。タクトはちゃんと今日の準備した?』

「準備? 登校に必要な物ならちゃんとリュックサックに入れてあるぞ」

『さすが、タクトだな☆ じゃあ、あとでいつもの電車でな☆』

「おおう……」


 準備ってなんだ?

 しかも、ミハイルのやつ。なんだかテンションが高い声だった。

 夏休みになるから、毎日遊べるってことで嬉しいのか?

 ま、家を出るまでしばらく、また仮眠を取ろう。


   ※


 朝食をとったあと、いつもどおり、小倉行きの電車に乗る。

 二駅過ぎて、席内駅に止まる。

 ホームの上で、一人の小さな少年が手を振っていた。

 古賀 ミハイルだ。

 迷彩柄のタンクトップに、薄色のデニムショートパンツ。

 そして、なぜか背には大き目のリュックサックを背負っていた。

 珍しい。


「おはよ☆ タクト!」

 当然のように、俺の隣りに座る。

 細くて白い脚をピッタリとくっけて。

 思わず、ドキッとしてしまう。

「お、おはよう」

「今日の学校。楽しみだよな☆」

「え? なにがだ? ただの終業式だろ」

「宗像センセが言ってたゾ。一ツ橋高校だけだって。あんな特別な終業式はって」

「はぁ……」

 なんのこっちゃ。

 あれか、ヤンキーばっかりが通っている高校だから、殴り合いでもするんだろうか?

 いやいや、さすがにそれはないよな。

 ガチンコでも、俺はファイトできないひ弱な一般学生。

 おてんてんで戦うってなら、まあ話は別だが……。



 妙に上機嫌なミハイルが気にはなるが、登校に前向きなことは良い心がけというものだ。

 鼻歌交じりの彼と共に、赤井駅で降りて、一ツ橋高校へ向かった。



 校舎に着くと、なにやら騒がしい。

 駐車場に大きなバスが一台、止まっている。


 そこに生徒たちがたくさん集まっていた。

 皆が皆、大きなカバンやトランクなどを抱えて。


「ん? どういうことだ……今日は終業式だろ?」

「そうだよ。だから、バスに乗って行くんじゃん」

 ミハイルが目を丸くして言う。

 俺が首を傾げていると、そこへ宗像先生が現れた。


「よぉ! 新宮に古賀も来たのか! えらいえらいっ!」

 今日も酒くさい。

 アル中が移るから、どっかにいってください。

 しかし、今日の宗像先生は、装いがいつもと違う。

 いや、確かに淫乱教師であることは知っているのだが、なんか違和感を感じる。


 スカートはいつものように、超ミニ丈のタイトスカートに黒のストッキングとピンヒール。

 問題は上半身だ。

 頭に小さな帽子を被り、ふくよかな胸はジャケットで隠してある。

 おかしい。

 この破廉恥バカは、だいたい露出を好む。

 ならば、汚いデカチチは放り出しているはずなのに……。


 俺が怪訝そうに、先生を見つめていると、口を大きく開いて、下品な声で笑い出す。


「だぁはははっははは!」


 相変わらず、うるせぇ!

 そして、のどちんこが丸見えだ。

 中身、ほんとただのおっさんだろ。


「どーした、新宮? そんなに今日の私のファッションが気になるのかぁ~」

 嫌らしくニヤニヤ笑いやがる。

「違いますよ……」

「じゃあ、どうしてだ? この私で使いたいのか? 写真を撮ってもいいぞ」

 誰が撮るか!

 それを鵜呑みにしてか、隣りにいたミハイルがブチギレる。

「タクトっ!? 宗像センセの写真なんか撮って、何に使うんだよ!?」

「いや、撮らないし、使うこともないから……」

 アンナモードで、たくさん撮らせておいてよく言うぜ。

 いつも、お世話になってます。



 ムキーッと猿のように、怒るミハイルを一旦放置して、話題を変える。

「宗像先生、一体どういうことですか? 先生、いつもの服装じゃないし、あのバスはなんですか?」

 そう問うと、宗像先生はキョトンとした顔で返事をする。

「え、新宮……まさか、手紙読んでないのか?」

「手紙? なんのことです?」

 すると、宗像先生はその場で「あちゃ~」と頭を抱えた。

 それを聞いてミハイルも驚く。


「タクト! じゃあ、ちゃんと準備してないの!?」

「は? 準備って終業式のだろ」

 あれ、俺がなにか間違ってる?

「だから、オレが朝、ちゃんと電話で聞いたのに!」

 なぜか悔しそうに歯を食いしばるミハイル。

「どういうことだ……俺には全然わからんのだが」

 状況が把握できず、混乱していると、ミハイルが半泣き状態で叫んだ。


「今日は終業式だから、バスでみんなで別府べっぷ温泉に行くのっ!?」

「ハァッ!?」

 ちょっと、言ってる意味がわからない。

 何故、終業式なのに、旅行するんだ?


「よくわからないのだが……それって泊まりなのか?」

「そうだよ!」

 めっちゃキレてるよ、ミハイルママ。

 泣いてるし……。



 俺たちが言い合いをしていると、宗像先生が間に入る。

「悪い悪い。どうやら、新宮のことだけ、手紙を出し忘れてたみたいだ、てへぺろ♪」

 舌を出して、笑ってごまかす。

 お前の凡ミスじゃねーか。

 ブチ殺すぞ、コノヤロー!


「え~ じゃあセンセ……タクトは着替えとかどうするんすか?」

「まあ……あれだ。私の下着でも使えばいいじゃないか。Tバックだから、お尻が楽だぞ~」

「そっか。なら、大丈夫っすね☆」

 全然、良くない。

 女もんのパンティーで、しかもTバックとか。



「しかし、宗像先生。なぜ、終業式だというのに旅行するんですか?」

「ああ……それはだな。本校特有の事情があってな。うちの高校は通信制だし単位制だろ。だから、今期で卒業する生徒もいるんだ。ごく僅かだがな。だから、卒業旅行も兼ねて、終業式は毎回、旅行をするようにしているんだ」

 なにその終業式。

「じゃあ会場はどこでやるんですか?」

「昔はちゃんと、会館借りてやってたけど、もうめんどくせーだろ? だから、バスの中で今期は終業ってことにした。司会役の私はバスガイドさんも兼ねてる♪」

 めっちゃ笑顔で酷いこと言っているんすけど。

「はぁ……じゃあ、今からバスに乗って、別府まで行くんすね……」

 俺だけ知らされていない孤独さよ。


「とりあえず、早くバスに乗れ! 三ツ橋高校の校長に見つかったらヤバいからな」

「え、どういう意味です……」

 なんか嫌な予感。

「野暮なこと聞くなよ。このバスは、全日制コースの部活で使うやつだ。遠征とかでな」

「それを無断で拝借したってことですか」

「新宮、パクったみたいな言い方するなよ。バレなきゃいいんだよ。こういうのは」

 

 ふと、運転席に目をやると、ガタガタ震えた一ツ橋高校の男性教師が見えた。


 確か現代社会の先生だ。

 なぜ彼が、ハンドルを握っているんだ?


「宗像先生。運転席に現代社会の先生がいるんですけど……」

「あいつか、あのバカは知ってると思うが、本校の卒業生でな。私が雇ってやったからさ。こういう時使えるんだな、ハハハッ!」

 そう言えば、バーベキュー大会の時も良いように使われていたな。

 かわいそうに……。









 



 






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