気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

駅弁は高くてもうまい!

公開日時: 2022年1月26日(水) 15:45
文字数:3,393



 サンオイルをお互い仲良く塗りあった後、しっかり準備運動をする。

 まずは流れるプールに入ることにした。


 アンナはバナナの浮き輪を持って、水の中に浮かばせる。

 そして、ひょいっと浮き輪にまたがる。


「アハハッ! 楽しい~☆」


 お馬さんに乗る幼児のように、はしゃぐ15歳(♂)

 まあ、アンナだから許せる所業か。

 それを下から、俺は眺めて泳ぐ。

 いいアングルだなぁ~

 もちろん、自撮り棒を手に持ち、ローアングルからの動画撮影中だ。

 どんなアンナも見逃すことはできない。


 しばらく、そんなことをして遊んでいると、後ろから若い男たちがキャーキャー騒いで、こっちに近づいて来る。

 水面でボール遊びして、俺たちに気がついていない。


 ドンッ! と大きな音を立てて、アンナの乗ったバナナボートが転覆。


 咄嗟に、俺は自撮り棒を投げ捨て、水中に滑り落ちる彼女を両手でキャッチした。


「キャッ!」

「だ、大丈夫か!?」


 辺りは静まり返る。

 なぜかと言うと、俺の両手にある。

 ムニムニ……その感触を味わう。

 あまりやわらかくない。不自然な感じ。

 そうだ、人工的な肌の感触、シリコンとか……つまり、それを外してしまえば、カッチカチやぞ! てなぐらいにぺったんこ。

 

 事故だが、大事な取材対象の胸を揉んでしまった。

 今も尚、俺の両手はなかなか彼女の小さなおっぱいから、逃れることができずにいる。

 魅力的すぎるのが悪い。

 体感で言えば、5分ぐらい揉んでいたような気がする。


 落ち着け、まず謝ろう。


「す、すまん……」

 ここで、ようやく彼女の身体から手を離す。

 アンナといえば、顔を真っ赤にして俯いていた。

 泣いているのか? と心配した。

「……ううん。アンナこそ、嫌な思いさせなかった?」

「え?」

「アンナっておっぱいないし、ていうか、硬かった……でしょ?」

 頬を赤らめて、恥ずかしそうにしている。

 気にするところ、そこなんだ。

 不慮の事故とは言え、怒っても良そうなもんだが。

「う……まあ、その……別にデカければ良いってもんじゃないだろ」

 俺ん家のかなでみたいに、キモ巨乳だったら、しんどいよ。

「でも、アンナの胸ってぺったんこだし……」


 気がつくと、彼女が乗っていたバナナボートはどこかに流れて行ってしまった。

 俺のスマホも同様に。


 流れるプールだと言うのに、俺とアンナはそこで立ち止まり、流れに反している。

 他の泳いでいた客たちは、その様子を見て、カップルがケンカしているように見えたようだ。


「ヒューヒュー、プールで愛の告白かよ」

「うっわ! こんな暑い日に他人のイチャイチャとか見たくねぇ~」

「彼氏の方、キュートなお尻だわ……」


 え? 俺のこと?

 ガチの人からすると、俺のケツって、モテるんだろうか……。

 尻の力を緩めないでおこう。



「なぁ、アンナ。俺は正直いって、胸の大きな女の子は苦手だ。アンナぐらいの、その……大きさが好きだ。だから、そう落ち込まないでくれるか?」

 あれ? 言ってて、おかしく思った。

 だって、こいつ女の子じゃないよ。男の子じゃん。

「ホント!? タッくんはぺちゃんこが好きなの?」

 大きな声で人の性癖を暴露しないでください。

「う、うむ。まあな……」

「やった☆ なら安心! さ、遊ぼ☆」


 気を取り直したアンナは、俺の腕を力強く掴むと、流れてしまったバナナボートを探しにいくのだった。

 だが、先ほどの二人のやり取りを聞いたママさんたちが、俺を見て睨む。


「ねぇ、あの男。つるぺたが好きなんだって!」

「ゴリゴリのロリコンじゃない!」

「みんな、アイツに子供たちを近づけないようにしましょ! きっとロリもショタもイケるタイプよ!」


 えぇ……俺って、バイセクシャルなの?

 しかも、小児性愛者?

 病院行かなきゃ。



   ※


 バナナボートとスマホは、プールの係員が預かっていてくれたようで、無事に手元に返ってきた。

 その後もしばらく水中で雑談しながら、二人で楽しむ。


 流れるプールは、一番の人気らしく、水が見えなくなるぐらいたくさんの人で埋もれていた。

 家族や友人同士で来ている客もいるが、カップルが多く感じる。

 色んな奴らがいたが、大半は人目もはばからず、イチャイチャしていた。



 気がつけば、俺たちの周りはカップルだらけ。

 彼女が彼氏に抱っこしてもらい、自身の脚を彼の腰にからめる。

 そして、彼氏は満足そうに、そのまま歩き出す。

 コアラかよ。

 だが、そんな愛くるしい動物とは違い、相手は人間同士だ。

 交尾前のオスとメスみたい。

 互いの鼻と鼻をくっつけて、見つめ合い、笑っている。



 そう言えば、アインアインプールがある海ノ中道海浜公園の近くには、リゾートホテルやラブホがたくさんあったな……。

 前戯なら、他でやってくれ。

 小さなお子さんもいるんだから。


 俺は、そいつらを汚物を見るようかのように、見下す。

「はぁ……ここは公共の場だってのに、盛りのついたバカどもは……なぁ、アンナ? 場所変えるか?」

 俺がそう聞くと、彼女は頬を赤くして、黙り込んでしまう。

 ん? アンナモードだから、恥ずかしいのか?

「あの……タッくん……」

 白くて細い首が「ギギッ」と軋んだような音を立てて、横に動く。

「どうした、アンナ」

「あれ、やろっ……か?」

 そう言って、周りのバカップルどもを指差す。

「え?」

「カップルてさ……あーいうのをやるんだよね? フツーの恋人同士なら」

「いや、一概には言えないと思うが……」

「アンナ思ったの。ラブコメの取材には、タッくんが『ドキドキする要素が必要不可欠』だって。だから、しよ?」

 そう言って、上目遣いで、俺を誘う。

「つまり、取材に必要だと?」

 生唾を飲み込む。

「う、うん……タッくんさえ、いいなら」

 頬を赤くして、視線は水面に。

 黙ってはいるが、「早くしよ」と、俺からの返事を待っているように感じた。

「そうだな……なんでも、やってみないことには、始まらないものな。挑戦してみるか」

 アンナは黙って頷く。



   ※


 黙って水中をゆっくり歩く。

 ただ違和感があるとしたら、視界が塞がれている。

 ピンクのフリルがついた可愛らしい水着。

 白くて細いウエストに、小さなおへそ。

 

 彼女の体温が肌を通して、伝わる。

 アンナは俺の腰に脚を回して、腕は背中に回す。

 太陽の光りで、彼女の顔は影になり暗くなっていて、少し分かりづらいが、見たことないぐらい真っ赤になっているのだろう。


「どう? タッくん?」

「な、なにがだ」

「その……ドキドキする?」

 聞かんでもわかるだろ! 心拍数が爆上がりで死にそうだ!

「ああ、これなら間違いなくドキドキしてしまうな」

「そっか……なら、役に立てて嬉しい☆」

 見上げると、ニッコリ笑うアンナの可愛らしい顔が、目の前にある。

 その距離、10センチほどか。

 もうすぐ唇と唇が、くっつきそうなぐらい。

 密接している。


 一体、俺はナニをやっているんだろうか?

 男と男で。

 俺は、彼女の身体を支えるために、細い太ももを両手で掴んでいる。

 別にわざとやっているわけじゃないが、自然と彼女のヒップラインに、指が触れてしまう。

 それだけじゃない。

 大好物の貧乳というか絶壁のちっぱいが、目前にある。

 最後に、俺の股間と彼女の股間がペッティングしちゃってる。


 プールをゆっくりと歩いているはいるが、上下に身体が揺れる。

 その際、互いの股間が擦れて刺激しあう。


 り、理性がブッ飛びそうだ……。


 その時だった。

 プールサイドにあるスピーカーから、

「ブーーーッ!」

 と音が鳴り響く。


『ただいまから5分間の点検作業が始まります。係員が水中を泳いで作業しますので、お客様はプールから出てください!』


 それまでイチャこいていたカップルたちも、一斉にプールから出ていく。

 アンナも俺の身体から降りて、ドキドキタイム終了。

「タッくん、点検だって。休憩でもしよ☆」

 彼女が手のひらを差し出すが、俺は今、それどころではない。


 股間を沈静化しない限り、水面から出てはいけないのだ。

 同じ男だというのに、アンナは特に症状が出ていないように見える。

 俺だけか……。


「あの~! 君、早く出てよ! 作業できないでしょ!」


 近くの係員が、メガホンを使って注意してきた。

 だが、動けん!

 

「タッくん? 具合でも悪いの?」

 アンナが首を傾げて、俺を心配そうに見つめる。

 君が提案したのが悪いんだよ。


「ん? そこの君、具合が悪いのか?」

「あ、そう見たいです」

 違うだろ! アンナ!

「よし、医務室に連れて行こう!」

「お願いします。タッくん、プールで身体冷やしちゃったのかな」


 後に、俺は医務室で「至って健康」だと医師に告げられるのであった。





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