気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

第〇章 プロローグ

プロローグ(挿絵あり)

公開日時: 2021年2月11日(木) 14:59
更新日時: 2022年8月21日(日) 14:01
文字数:718


 俺とあいつが出会ったのは桜舞い散る頃だった……。


「おい、お前! さっきオレにガン飛ばしたろ?」

 あいつはいわゆるヤンキーで、初対面の俺にケンカを売ってきた。

 俺が勘違いじゃないか? と答えたが、あいつはそんな答えでは満足しない。


「じゃあ……じゃあ、なんでオレの方を見てた!」

 あいつは入学式だというのに、肩だしのロンT。中にはタンクトップが見える。そして、ショーパン。

 という……露出の激しい格好で来やがった。

 正直いって俺のどストライクゾーンだった。


「かわいいと思ったから」

「……」


 一言。そのたったひとことが俺の失敗でもあり、はじまりでもあった。

 

「オレは……オトコだぁぁぁぁぁ!」

「へ?」


 そうしてあいつは、俺めがけて奇麗なストレートパンチをお見舞いした。


「な、なにをする! 初対面の人間に向かって!」

「うるせぇ! お、お前がオレに……オレにか、かわいいとか言いやがるからだ!」

「かわいいと思ったことが何が悪い!」


 あいつが男だとは思えなかった。

 声も女のように甲高いし、見た目は100パーセント、女だ。


 俺だけがそう見えていたのかもしれない。

 こいつはまごうことなき、男子だったのだ。



 ~それから時は少し経ち~



「あ、あの……わたし……」



 目の前には妖精、天使、女神……どの言葉でも表現が足りないぐらいの美人が立っていた。


 胸元に大きなリボンをつけて、フリルのワンピースをまとった女の子。

 カチューシャにも同系色のリボンがついている。

 美しい金色の髪を肩から流すようにおろしていた。

 時折、風でフワッと揺れる。


「キャッ」とスカートの裾を手で必死に押さえる姿はとても女の子らしい仕草だ。




「わたしじゃ……ダメですか?」



 そう、あいつは女装すると男の娘に変身するヤンキーだったのだ。

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