気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

燃えろ! 腐女子たちよ!

公開日時: 2022年6月30日(木) 14:00
文字数:1,505


 約束した通り、黒田節の像の下に一人の少女がいた。

 相変わらずのスタイル。

 白いブラウスに紺色のプリーツスカート。

 深夜に一人の真面目そうな制服を着た女子高生。

 ナチュラルボブに眼鏡。

 一見すると塾帰りの学生に見えるが……。

 あくまでも、見た目だけ。

 だって、額に変なハチマキを巻いているもの。


『今日はケツ祭り!』


 ニコニコ笑って、こちらへ手を振る。

「……」

 関わりたくない。

「あ、ほのか~☆ 久しぶりぃ~」

 純真無垢なミハイルは、彼女の汚れを知らない。

 駆け寄って、久々の再会を喜ぶ。

「こんばん駅弁バック~♪ ミハイルくん!」

 俺のダチに変な挨拶をインプットすな!

「駅のべんとう? それなら、お土産売り場に売っていると思うけど……」

 ほらぁ~ うちの子はあなたみたいに煩悩が少ないんです。

「ミハイル。覚えなくても良い挨拶だ。ほのか、久しぶりだな」

「うん、琢人くんも、こんばん駅弁バック~♪」

「……」

 こいつが女じゃなかったら、ぶん殴ってやるところだ。


「ん、お弁当のことでしょ? お腹空いているの? ほのか。それなら、どこかで夜食か、おやつタイムにしよ☆」

 ミハイルきゅんがおバカで助かった。


   ※


 俺たちは博多駅を少し離れて、大博たいはく通りへ向かった。

 ほのかが言うには、祇園近くの東長寺とうちょうじ前、清道せいどうが一番追い山のコースで見やすく楽しめるらしい。

 彼女の案内に従って、大博通りを三人で仲良く歩く。

 スマホの時刻を確認すると、『1:45』

 レーススタート地点である櫛田くしだ神社から、各神輿が出発するのは、午前5時頃。

 まだ3時間ほどある。

 そこで、俺は大博通り沿いにあるカフェ、バローチェに寄って、時間を潰すことを提案した。

 ほのかもミハイルも喉が渇いたし、一杯飲んで涼んで行こうと承諾してくれた。



 店内に入ると、各々が好きな飲み物を注文する。

 俺はアイスコーヒーのブラック。ミハイルはアイスカフェモカ。ほのかは、宇治抹茶ラテだ。

 四人掛けのテーブルに座る。

 誰がどこに座ると話し合う前に、ミハイルが一番先に奥の席に座り、その隣りに俺を座るよう、イスをトントンと叩く。

 断ると殴られそうなので、黙って従う。



 俺とミハイルは仲良く、並んで座る。

 イスとイスの幅は充分余裕があるというのに、ミハイルは席をぎちぎちに詰めて、太ももを俺に擦り付ける。

 グラスに小さなストローを差し込み、飲み始めた。

「んぐっ、んぐっ……ちゅっ、ちゅっ……ごくっん! ハァハァ……おいし☆」

 お久しぶりです。エロすぎる咀嚼音さん。


 俺は、向い側に座るほのかが一人で座っているのを、ちょっと気の毒に感じ、話を振ってみる。

「なぁ、ほのか。お前ってさ。好きな男のタイプとかってあるのか?」

 マブダチのリキのためでもあった。

 今後のために聞いておきたい。

 すると、ほのかは顔をしかめて、考えこむ。

「うーん……それって、どっちの意味で?」

「は? どっちってどういうことだ?」

 会話にミハイルも入ってくる。


「オレも気になる! ほのかってどんな男の子が好きなの?」

 えらく前のめりで聞いてくるな……。

 そうか、こいつもリキに力を貸したいのか。

 というか、ほのかと俺を遠ざけたいんだろう。


 ほのかは胸の前で腕を組んで、難しい顔をする。

 しばらく唸りを上げたあと、人差し指を立てて、目を見開く。


「ズバリ! タイプとは……受けか攻めか、という質問よね!?」

 テーブルをダンと両手で叩き、身を乗り出す。

 ふくよかな胸がぶるんと震えた。

 きもっ。


「受け? 攻め?」

 ミハイルは脳内がパニックを起こしていた。

「ほのか。BLの話じゃないぞ? お前の好きな男性のタイプだ」

「うん、わかっているよ。だから私も、受けのタイプと攻めのタイプがいるってことだよ♪」

 リキ先輩……腐女子の攻略、なかなか難しそうです。


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