気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

可愛ければ、なんでもいい。男の娘でも☆
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

最強のヒロイン

公開日時: 2022年9月2日(金) 14:00
文字数:1,423


「10年前……一体、なにを言っているんだ? アンナ」

 あれぇ? 俺ってこいつとそんな長い間柄だったけ。

 首を傾げていると、彼女は肩をすくめて、ため息をつく。

「やっぱり忘れているんじゃない。あれだけ、格好つけておいて……もう、私あなたの口癖は信用しないわ。『認識した』っていうセリフ」

 俺は酷く動揺していた。

 目の前にいるこの金髪の美少女がアンナじゃなければ、誰だというんだ?

 色んなカワイイ女の子を見てきた俺だが、彼女……いや、ミハイルほどのルックスの持ち主はいないはず。

 沈黙が続く。

 どう会話を切り出したらいいのか、分からない。


 脳内の記憶を検索しまくる……だが、10年前なんて昔の映像は蘇らない。

 しばらく考えこんでいると、痺れを切らした彼女が俺の手を握りしめる。

「タクト。ここを触って。それで思い出すはずよ」

 そう言って、俺の右手を自身の胸元に当てる。

「なっ!?」

 その行動に驚いた俺は手を離そうとするが、彼女が許してくれない。

 華奢な体つきの割にかなり強い力だ。

「ほら……聞こえるでしょ。私の鼓動が」

 視線を彼女に合わせると、薄っすら涙を浮かべていた。

 確かに心臓の音は手を通じて、伝わってくる。

 だからといって、なにがわかるんだ。

 そりゃ生きているんだから、当然だろうに。


「すまんが、手を離してもいいか? お前の言いたいことがさっぱりわからん」

 俺がそう言うと、彼女は頬を膨らませて、不機嫌そうにする。

「これでも思い出せないの? いいわ……じゃあ、これならどう?」

 ススッと、心臓から少し下に手をおろす。

 そして何を思ったのか、俺の右手を介して、自身の胸を揉み始める。

「お、おい! なにをする!?」

 慌てる俺を見ても、彼女は特に驚くことはない。

 人目も気にせず、自身の片乳を揉ませる。

「ほら……あの時の約束でしょ? 私の胸が貧乳だったら、結婚するって」

 それを聞いた俺は、バカみたいに大きな声で叫ぶ。

「け、け、結婚だと!? お、お前は何を言って……」

 だが、そんなリアクションとはお構いなしに、胸を揉ませられること、数分間。

 確かに俺好みの貧乳だ。


 瞼を閉じてみる。

 どうやら、過去の俺はこの子の胸を揉んだことがあるらしい。

 しばらく感触を味わっていたら、思い出すかもしれん。

 自由に触って良い機会なんて、中々ないしな。

 

 プニプニしている……柔らかい。

 小ぶりでちょうど良いサイズ。

 素晴らしい。

 しかし、服の上からとはいえ、あまりにも柔らかすぎる。

 なぜだ?

 この感触は……そうか。ブラジャーをしていないんだ。

 だからか。

 ってあれ? 以前、アンナとプールでおっぱいを触ってしまった時は、もっとこうなんというか、人工的な柔らかさ。シリコンみたいな感じだったよな。

 それにアンナはカチカチってぐらいの絶壁……。


 その瞬間、目を見開く。

 確信したからだ。

「お前! 女だろ!」

 言った後で、自分でもアホな発言だと思った。

「え? 当たり前でしょ?」

 すごくバカにした目で睨まれてしまう。

「違う! 俺が言いたいのは……」

 待てよ。こいつの目。おかしい。

 夕陽に照らされて輝く2つのブルーアイズ。

 グリーンじゃない!?


 激しい頭痛が俺を襲う。

 頭の中がバチバチと激しい閃光が走る。

 けたたましい雷が鳴り響くような。

 体感にして、1時間ぐらい起こった気がする。

 それらが治まった後……1つの言葉が、自然と口から出てきた。


「マ……リア。お前、マリアか?」

「やっと思い出せたのね。タクト、ただいま」

 彼女は優しく微笑む。

 まあ、この間もおっぱいは揉みしだいているのだが……。

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