「ストーン・アーケード。俺は、その生まれ変わりなんだ」
再度、絶句。
いや、絶句っていうより、“理解できない”って言った方がいいかもしれない。
私の聞き間違いじゃなければ、彼は「ストーン・アーケード」って言った。
伝説の冒険者、大航海時代の航海者。
歴史の教科書を開けば、必ずと言っていいほど彼の名前が出てくる。
“センターブルー”と同様、その知名度は計り知れないものがあった。
だって、センターブルーを見つけた人なんだから、同じくらい知名度があって当然でしょ?
ろくに学校に行っていなかった私ですら、その名前をよく耳にしてた。
彼は、私たちが住んでいるミゼリア出身の冒険家だったから。
「何言ってんの?」
ストーン・アーケードの生まれ変わり?
あなたが?
ハハッ
「俺もよく分かってないんだ。ただ、DNAとか、ゲノムどうとかの生体情報が同じだって言われて」
「誰に?」
「博士に…」
バカバカしい。
冗談を言うんなら、もっとマシな冗談にしたら?
どう考えてもあり得ないでしょ。
そんなの。
「彼の話は嘘じゃないよ。僕も最初聞いた時は信じられなかった。君もリリム博士のことは知ってるだろ?彼は彼女の“推薦”で、この学園に入ったんだ。証明書だってある」
セントラル・アカデミーの【生命科学部生物科学科】の研究室に席を置く教授、リリム・アレクザンダー博士。
彼女はあらゆる種族間にある共通の遺伝子、『コモノート』の起源について新たな発見をした研究者として知られており、国際的にも注目を浴びている若き天才科学者だ。
彼女のことは知っているけど、私が所属している学部は【魔法医学部】だから、あんまり詳しくはない。
かなり若い科学者だと言うことは、生徒の間でもよく話題になっていた。
確か、まだ二十代じゃなかったっけ?
淡いピンク色のロングストレートに、鼻に空いたピアス。
かなり見た目がパンクだということでも有名だった。
直接見たことはないから、なんとも言えないが。
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