「君はいつも忙しないな。まあ座って」
…いや、教官?
そんな感じなんですか?
もっと言うことないんですか?
10分以上待ってたんですけど。
私。
「…えーっと」
彼は席に着くよう促された後、私の方を見た。
困ったような顔をしていた。
何か言いかけて、口を噤む。
…何?
そんな変な目でこっち見ないでくれる?
文句があるなら教官にどうぞ。
私とあなたを組み合わせたのは、他でもないこの人なんだから。
「あんた、名前は?」
「…は?」
「いや、その、なんて呼べばいいかなーって思って」
名前…?
メールが飛んでるはずでしょ?
っていうか、教官から何も聞いてないの?
私は度々あなたの名前を聞かされたけど。
「…セフィリア」
「え?」
「セフィリア・ハールートよ」
彼は私の名前を聞くなり、ポンっと手を叩いて腕を組んだ。
と思えば、急に胸を張ったようにドヤ顔をかまし、親指を立てながら自らの顔を指差す。
ニカッと白い歯を覗かせた後、会議室全体に響き渡るくらいに騒々しく自己紹介を始めた。
「俺の名前はソラ。よろしくな!」
…えーっと。
あなたのことは知っているし、そんな大きな声を出さなくてもちゃんと聞こえる。
さっさと席に着いたら?
とっくに時間が過ぎてるのわかってる?
この後予定があるんだから早くしてよね。
どうでもいいことでドヤってないで。
「ハハハ。まあお互い初めてなんだし、挨拶くらい交わしたらどうだい?」
「教官…?」
「なんだい?」
「私は反対ですよ?こんな人と組むのは」
「なっ!?こんな人ってどう言うことだよ!」
「声が無駄にデカいし、見た感じすごくだらしないし」
「…はぁ?!」
「それは一理あるかもね」
「先生!?」
「あと、時間にルーズな人は嫌いなの」
「いやいや、それは確かに謝るけども。大体遅刻したのは先生のせいっていうか…」
「アレェ?僕のせいにするんだ?」
「どう考えても先生のせいでしょ!ずっと閉じ込めておいたくせに!」
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