ヨハネと獣の黙示録

〜黙示録事件篇〜
上崎 司
上崎 司

アポカリプス②

公開日時: 2020年11月10日(火) 12:00
文字数:966

「第四部隊、到着しました。侵入者はたった一人、数で抑え込め!」


続々と駆けつけてくる緋色のローブの軍勢に足止めされ、ヴァルカンは未だにパレットの元へと辿り着けずにいた。


「くっ……敵が多すぎるな」


いくら秘宝獣が近代兵器より強力と言えど、亀の秘宝獣とシビレエイの秘宝獣は、既に戦闘不能の状態で、残すはテッポウエビの秘宝獣一体のみとなってしまった。


「ここまでか……」


ヴァルカンが諦めかけた途端、艦内全体が大きく傾いた。何かが衝突したようだ。

外壁を突き破り、ピエロ顔のジェット機が猛スピードで突っ込んで爆発した。


「アタシのCIP効果ッ、『神鳥の守護』でバリアを張ったわッ……」


「死ぬかと思った……」


「あのピエロ、帰ったらシバき倒すのです……」


「……同感だ」


煙が晴れると、黒城と青いひな鳥、乃呑、イヴが、艦内で大暴れを始めた。


「卿等は……、レイティング二位の『白銀の狩人』、レイティング一位の『独裁者』……。どうしてここへ……」


「お初にお目にかかるのです、レイティング三位、『霊界の使者』」


彼らは互いに、通り名で呼び合っていた。


「何者だ、貴様ら!」


「構わん、撃て、撃てぇぇっ!」


「暗く深い絶望の淵、差し込んだのは一筋の光。開宝、ダムドレオ!」


「グルァァァァァッ」


「ひぃぃぃ、食われる……」


黒豹の秘宝獣は、緋色のローブの一人を押し倒した。


【Sランク秘宝獣―ダムドレオ―】


「幸と不幸の半道に、差し込んだのは暖かな光。開宝、フェンネル!」


「アオォォォン」


「こいつら、化け物だぁぁっ」


フェンリルの秘宝獣は、光の速さで場を制圧した。


【Sランク秘宝獣―フェンネル―】


青いひな鳥は防犯カメラを見つけると、それに向かって叫んだ。


「パレット聞こえてるッ? 助けに来たわよッ」


続けて乃呑とイヴも防犯カメラに話しかける。


「勝手に一人で背負い込んで、居なくなるなんて、許さないからね!」


「拘留中に抜け出すとは、帰ったらお説教なのです」


そして最後に黒城が、微笑みながら言った。


「……帰ろう、陽光町に」


ヴァルカンはその隙に、パレットのいるモニタールームへと向かっていた。


「逃がすな、追え!」


緋色のローブの人物が数人、ヴァルカンを追っていたが、二体の獣が立ち塞がった。


「あなた方の相手は」


「私たちだよ!」


「かたじけない!」


ヴァルカンは一足先に、モニタールームへとたどり着いた。

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