昔々あるところに、シン・デレラと呼ばれる高校生くらいの女の子がおりました。彼女は誰もが振り返るような美しい容姿とモデルでも通じるようなスタイルで街の男性達をメロメロにし、毎日高額な贈り物を貰っておりました。
シン・デレラ達は裕福ではありませんでしたが、男性達からの贈り物と、僅かな稼ぎにより、慎ましくも幸せに日常を過ごしておりました。
そんな彼女を悲劇が襲いました。なんと、彼女の父親は、彼女が十歳の頃に病気で亡くなってしまったのです。家計が苦しいこともあり、彼女の母親はマッチングアプリで知り合った新しい男と結婚することになりました。男は某中小企業の社長であり、比較的裕福であったため、シン・デレラは大喜びしました。
ところが、シン・デレラの新しい父親の娘達は、ぽっと出で現れたシン・デレラが気に入りません。シン・デレラの転校初日に学校の校舎裏に呼び出し、寄ってたかって虐めようとしました。しかし、空手百段の実力を持つシン・デレラに彼女達が勝てる訳もなく、一撃で倒されてしまいました。
こうして、シン・デレラは得意の色気と武力行使により、自身の学校を掌握しました。新たな番長の誕生に、学校中が騒めき立ちました。何しろ、ここしばらく、シン・デレラがいる学校で番長が誕生したことがありませんでしたから、当然と言えば当然の話です。
新しい番長の誕生を聞き、他の学校の学生達が活気づきました。一部の他校の生徒がシン・デレラに戦いを挑みましたが、シン・デレラの圧倒的な戦闘力の前に沈められました。この出来事を経て、シン・デレラの校内での地位は確固たるものとなりました。
正攻法ではシン・デレラに勝つことはできないと考えた学生連合は、古代兵器を復活させることにしました。この古代兵器は、かつて神々が世界が滅亡に陥った時に、人類が戦えるよう備えていたものでした。シン・デレラを倒す武器として、これ以上のものはないでしょう。
学生達は大喜びで、この古代兵器に乗り込み、シン・デレラの元に向かいました。
ある日、シン・デレラが森で昼食を食べていると、古代兵器に乗った学生連合が現れました。彼らは皆目が血走っており、目の下に隈ができておりました。その様子は、動物園の人気者であるパンダを彷彿とさせました。彼らはシン・デレラを倒すという目的で、三日間徹夜で巨大兵器の扱い方を学んでいたのです。その頑張りをもっと他のところに使うことができなかったのかと思わずにはいられません。
しかし、シン・デレラはそんな巨大兵器を見ても少しも驚かず、どこか俯瞰した様子でした。シン・デレラにとって、巨大兵器など取るに足らない存在だったのです。
シン・デレラは、「あ、UFO!」と言って、学生連合の気をそらしたかと思うと、森の中に姿を消しました。シン・デレラが逃げたと巨大兵器に乗った学生達が、嘲笑しました。
するとその時です。森の中にいた鳥達が一斉に悲鳴を上げて飛び立ちました。何事かと鳥達の悲鳴をした方に体を向けると、上回る巨大ロボットが出現しました。そのロボットの中からはシン・デレラの高笑いが聞こえます。なんと、父親の財力を用いて、巨大ロボットを開発していたのです。なんと狡猾なことでしょう!
巨大ロボの出現に驚いた彼らは、古代兵器に搭載された神々の大砲を放ちました。しかし、巨大ロボはびくともしません。彼女の父親の企業が、会社の技術力の粋を凝らして作製したものだったので、簡単には壊れないのです。
目の前の巨大ロボの防御力を前にし、学生連合の者達は驚愕の表情を浮かべました。神々の大砲こそが、この巨大兵器の持つ最大の武器だったためです。今の彼らには、他に出せる武器がありません。
この状況を知ってか知らずか、シン・デレラの乗った巨神兵が猛攻を始めます。巨大ロボットの口から破壊光線を発射させ、古代兵器を殲滅させました。学生連合は恐怖におののき、一目散へ逃げ出しました。
それを確認したシン・デレラは、ロボットのコックピットから姿を現し、完全なる勝利に対して高らかに笑いしました。その姿は人間とは異なり、まるで狐のようでした。
そう――彼女は人間ではありませんでした。彼女の母親は玉藻の前と呼ばれる妖怪であり、彼女の父親は宇宙人だったのです。彼女の人間離れした美貌は、彼女が人間ではなかったためだったのです。
また、シン・デレラや彼女の母親に篭絡されたシン・デレラの新しいお父さんは、彼女達の世界征服に力を貸すことにしました。彼は最早、母親とシン・デレラの下僕と化しており、世界中の人間に対して宣戦布告を行うなど、大立ち回りを行いました。
古代兵器を陥落させたシン・デレラにとって、最早自分を止めるものなどありませんでした。戦車や戦闘機などは、巨大ロボットの前では、玩具のようなものでした。
こうして彼女によって世界は無事に征服され、世界は一つになったのです。めでたしめでたし。
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