ミレーさんに頼まれ、ナタリーさんに付き纏っている奴の調査を始めました。
調査一日目、ナタリーさんに付き纏っているのは男性の方二名だと判明しました。
正直、ナタリーさんの素行の悪さは周知の事実ですので、恨みのある方々だと思っていましたが、どうやら違うようです。
調査二日目、本日ナタリーさんは『マム』に行かずに男性に声を掛け、宿へと消えていきました。
調査三日目、本日もナタリーさんは男性に声を掛けています。
しかし、今日は不発のようです。
調査四日目、不思議な事に付き纏っている一人の方が居なくなりました。
どうしたのでしょう?
ナタリーさんはの素行の悪さに呆れて諦めましたかね?
調査五日目、付き纏いが三人に増えました。
そんな事に気付かず、ナタリーさんはいつもの様に男性に声を掛け、宿へと消えて行きます。
調査六日目、遂に動きがありました。
付き纏っていた一人がナタリーさんへ声を掛けました。
そして、期待を裏切らないナタリーさんはそのまま着いていきました。
──あの方は警戒心と言うものを何処かに落としてきたんですかね?
仕方なく、後をついて行きます。
すると、大きな屋敷の中へ入っていきました。
──このお屋敷はどの方のでしょう?
気付かれないよう、外から中を探ります。
すると、とある部屋にナタリーさんが入ってきました。
ナタリーさんの前には、付き纏っていた三人の他に、中年で小太りな男性が椅子に座っています。
──察するに、あの方がここの当主ですね。
中の声は聞こえませんが、どうやら揉めているようです。
ナタリーが物凄い形相で中年の小太り……もう豚さんでいいですね。その豚さんに物申しています。
すると、豚さんが付き纏いの三人に何か指示を出すと、ナタリーさんは腕を捕まれ何処かへ連れていかれてしまいました。
──これは、穏やかではありませんね。
一度ゴリさんの元へ戻って、応援を頼みましょう。
◇◇◇
「なんだって!?」
早速ゴリさんに報告をすると、それを聞いていたミレーさんが声を荒らげました。
「それは多分、ナタリーの父親のヘルマン・オーバーフォルクだ」
なんと、あの豚さんがナタリーさんのお父上でしたか。
「まさか、今頃になってナタリーを狙うとは……」
「……大方、ナタリーを政略結婚の材料にしようとしているんだろう。オーバーフォルク伯爵はいい噂は聞かん。早目に片を付けた方がいい」
頭を抱えるミレーさんに、ゴリさんは推測で話を進めます。
「マリーにルイス!!お前ら先に潜入してナタリーを見張れ」
「「はい」」
「シモーネ、お前正面から入ってオーバフォルク伯爵の相手をしろ」
「ちょっと、私は人間担当よ?家畜担当じゃないわよ」
シモーネさん、好み煩いですもんねぇ。
まあ、ミレーさんの顔を立てて我慢して豚さんのお相手お願いします。
「ヤン、ティル、ジェムは屋敷の周りを偵察」
「「はい」」
「………」
一通り担当が決まりましたが、まだ一人決まってない方がいますよ?
「……ゴリさんは何するんです?」
「あ?俺は指揮官だからな、高みの見物だ」
ニヤッと笑うゴリラに、ヤンさん、ルイスさん、ティルさん、私の拳が飛び交いました。
──これは手当倍額ですね。
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