馬車から降りてきた方は全部で四人です。
手には剣、槍、ハンマーを持っています。
四人とは丁度いい数ですね。
──見た目だけなら強そうですが、見掛け倒しってことはないですよね?
殺るからには、こちらも本気で行きますよ?
「さあ、威勢のいいお嬢さん。大人しく私達に捕まって貰いましょうか?」
「はんっ!!お断りよ!!」
親玉の方が、シモーネさんの腕を掴もうとすれば、その手をパンッ!!とシモーネさんが叩き落としました。
流石に親玉の方も頭にきたご様子。
「多少傷つけてもいい!!捕らえろ!!」と用心棒らしき方々に向けて叫ぶと、四人の方は早速シモーネさんに襲い掛かりました。
──さあ、出番です。
シモーネさんの元に辿り着く前にゴリさん、ヤンさんが止めました。
「誰だ、貴様ら!?」
「──名乗る程のモンじゃねぇよ」
珍しくゴリさんが格好良く見えますね。
これが、俗に言う吊り橋効果でしょうか?
ヤンさんは黙って一人の方を相手しています。
残るは二人……。剣の方とハンマーの方が残っています。
「……マリー、どっちにする?」
「……どちらも大したこと無さそうなんで、シモーネさん決めていいですよ」
私とシモーネさんはどちらを相手するかで相談しておりました。
小声で話していたつもりですが、会話の内容が聞かれてしまい「誰が大したこと無いだと!!!?」と、大変お怒りの様で相談中にも関わず、攻撃を仕掛けて来ました。
「……仕方ないわね。私は、こっちの弱そうな方でいいわ」
「そうですか?じゃあ、私がこちらの方をいただきますね」
シモーネさんはハンマーの方、私は剣の方に決まりました。
お二人は馬鹿にされたのが分かり「ふざけるな!!!」と、顔を真っ赤にして次々と攻撃を仕掛けてきます。
──さてと、準備運動ぐらいにはなりますかね?
剣の方は私に向き合い、不気味な笑みを浮かべておりました。
「お前、僕が相手なんてツイてないなぁ~」
ほお?そこまで言うからには楽しませてくれるんでしょうか?
剣の方は相変わらず笑みを浮かべたまま、何やらその場で飛びながら剣を振り回しております。
──何をしているのでしょう……
と、思っていたら、私の頬が切れました。
──なんと!?
「ははははは!!!気づいた?僕はこの場から動かなくても、お前を斬れるんだよ。お前は僕に近づくことも出来ず、切り刻まれるんだよ!!」
なるほど、ただ遊んでいるだけではなかったのですね。
しかし、この技は……
「──いてっ!!おい!!ノウェス!!その技使うなって言ってんだろ!!!」
ほら見なさい。この技は敵味方関係なく、無差別攻撃系です。その為、ハンマーの方の足が斬られました。
当然、お怒りですよね。
「何さ、デケム。それぐらい避けてよ。だから君、いつまで経っても十番目のままなんだよ」
「なんだと!!!!」と、私達そっちのけで仲間割れを始めました。
──と、言うか、十番目とは?
「……ねぇ、どうする?」
「……どうしましょうか……」
私とシモーネさんは手持ちぶたさになり、待ちぼうけです。
あのお二人は既に自分達しか見えていません。
……ゴリさん達は、どうですかね……
ゴリさん達の方を見れば、ヤンさんは既に片付けておりました。
折られた槍が足元に転がり、縄で縛られた方の姿がありました。
──ゴリさんも、もう片が着きそうです。
で、このお二人はいつまでやっているつもりでしょうか?
と、その時「パンッ!!!」と銃声の音が響き渡りました。
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