熱を出し、倒れてから熱が下がるまで丸々3日かかりました。
ルーナが連れてきた牛により部屋を滅茶苦茶にされたので、一時的にテレザ様と同室になりました。
空き部屋があれば良かったのですが、丁度新しい侍女が入ってきて部屋がなく、仕方なくテレザ様のご好意に甘えさせていただきました。
テレザ様の手厚い看病により、無事に風邪を克服し本日から仕事復帰です。
そして、復帰最初の仕事して呼ばれたのは何故か、騎士団寮です。
──ここは、女子禁制のはずなのですが……
「おお、マリアンネ。病み上がりに呼び出してすまないな」
私の目の前にやって来たのは、第一騎士団団長のフリード様です。
「いえ、これも仕事の内ですので構いませんが、騎士団寮は女子禁制では?……まさかと思いますが、私を男性だと?」
生まれてこの方、男性に間違われたことはありませんが、万が一と言うことも有り得ますので。
「あはははは!!分かってる分かってる!!特例だ!!」
良かったです。
万が一にも男性だと言われたらどうしようかと思いました。
「それで、私は何故呼ばれたのでしょうか?」
「ああ、それだがな。ここは男しか居ないだろ?だからな、掃除が行き届かんのだ。ぼちぼち汚れが目立ってな。たまにこうして掃除などをお願いする為に侍女を呼んでいるんだ」
そう言う事でしたか。
確かに、男性だけでは掃除の手が行き届きませんね。
「……いつもは、テレザにお願いしていたんだがな。いい加減勘弁してくれと言われてしまってな……」
あのテレザ様が根をあげる汚さですか!?
それは興味深いです。
「しかも、ここは狼の巣窟でな。下手な侍女は呼べん。……たまにノリノリで名乗り出る侍女も居るんだが、明らかに掃除目的では無いのでな……」
──下心丸出しですね。
確かに、騎士ともなれば高給取りですから、この様なチャンスをモノにしたい方がいるのでしょう。
侍女の中にも数人、女豹の様な方がいますからね。
その様な方の獲物にならないよう、お気をつけください。
女豹に一度目を付けられたら最後です。骨の髄を吸い尽くすまで離れませんよ。
──狼より女豹の方が、ある意味タチが悪いです。
「そこで、マリアンネ。お前の名が上がった」
なるほど、そう言う経緯があったのですね。
確かに、私は狼だろうと野獣だろう屈する事はありません。
寧ろ、返り討ちにしてみせましょう。
ましてや、女豹にもなりません。
「無理強いはしないが、俺としてはマリアンネにお願いしたい」
頼られるのは嬉しいことですが、病み上がりにこの寮を一人でですか?
少々返事に困りますね……
「……テレザから伝言だが、特別手当出ると言っていたんだが……」
「やりましょう!!」
私が答えを出せず悩んでいると、素敵な言葉が聞こえました。
「特別手当」なんて素敵な言葉なんでしょう。
「……流石テレザだ、マリアンネの事をよく分かっている……」
ボソッとフリード様が何か囁きましたが、何を囁いたかは私にの耳には届きませんでした。
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